新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化の因子として、年齢や慢性疾患の有無、性別などの可能性が指摘されていますが、新たな研究により、「ビタミンDレベル」と重症化との関係が明かされています。
Vitamin D Insufficiency is Prevalent in Severe COVID-19 | medRxivhttps://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.24.20075838v1
Scientists link vitamin D deficiencies to higher COVID-19 mortality rateshttps://www.zmescience.com/science/news-science/scientists-link-vitamin-d-deficiencies-to-higher-covid-19-mortality-rates/
Low levels of vitamin D may be linked to severe COVID-19https://www.news-medical.net/news/20200429/Low-levels-of-vitamin-D-may-be-linked-to-severe-COVID-19.aspx
必須栄養素の1つとされるビタミンDは脂溶性ビタミンの一種であり、自然免疫応答と適応免疫応答のいずれにおいても重要な役目を持ちます。ビタミンDを含む食べ物は存在するものの、一般的な食生活でビタミンDを十分に摂取するのは難しく、日光浴をして体内でビタミンDを生成することも重要となってきます。
ルイジアナ州立大学健康科学センター・ニューオーリンズのFrank H. Lau氏が率いる研究チームは、ビタミンDとCOVID-19の関係性を確かめるべく、COVID-19患者の医療記録をたどり、ビタミンD欠乏のサインとなる25-ヒドロキシビタミンD(25OHD)について調べました。25OHDが30ng/ml以下であれば、ビタミンDが不足していることを意味します。
20人の患者の25OHDを調査したところ、患者のうち65%がICU(集中治療室)行きという状況において、一般病棟患者のビタミン欠乏症の割合は57.1%でしたが、ICU患者のビタミン欠乏症の割合は84.6%に上りました。また、ICUに入った患者のうち「75歳未満」に対象を絞ると、ビタミン欠乏症の割合はなんと100%になったとのこと。
ICUにいるCOVID-19患者のうち血液凝固の症状が見られた人は62.5%で、リンパ球の減少は92.3%でした。これらを総合して、研究者はビタミンDの欠乏が血液に影響を与え、免疫反応に混乱を起こしているのではないかと仮説を立てています。
また、COVID-19の患者にはアフリカ系アメリカ人やホームレスが多いことが指摘されていますが、研究者はこの事象にビタミンD欠乏症が関係していることを示唆。
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加えて、イタリア・ギリシャ・スペインといった、COVID-19が深刻な被害をもたらしている国では、ビタミンD欠乏症の割合が70~90%にのぼっており、ノルウェーやデンマークではこの割合が15~30%と比較的低いことも指摘されています。
なお、今回の研究結果はサンプルが限られたもので、論文も査読を経ていないため、正確な結論を出すには、リスクにより分類した被験者を対象したランダム化比較試験を行う必要があるとのことです。
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