アルバイトは学生がやるものというイメージがありますが、最近ではフリーターなど、生計を立てるためにアルバイトをしている人も多くいます。アルバイトによる収入でも、ある程度以上になれば税金がかかります。また、社会保険にも加入することになります。
◆所得税は年収103万円を超えたら、住民税は年収100万円程度から
アルバイトの収入は、給与所得として税金がかかります。個人の所得に対してかかる税金は、国に納める所得税、自治体に納める住民税の2つ。アルバイトの場合、この2つの税金を納めるべき人はどのような人でしょうか?
アルバイトの収入(給与所得)だけの場合だと、所得税を支払わなくてはいけないのは年収103万円を超えた時です。言い換えれば、年収103万円までは所得税を払わなくてもいいということですね。
ただし、学生の場合は、「勤労学生控除(27万円の控除)」が適用され、年収は130万円までは所得税は非課税となります(給与所得だけの場合)。
お住まいの自治体によって違いますが、住民税は少し金額が変わります。およそ、年収95万円から年収100万円が住民税を支払うかどうかのボーダーラインとなります(給与所得のみの場合)。詳しくは、各自治体に問い合わせください。
◆アルバイト本人が扶養親族である場合、扶養控除の適用条件も103万円
アルバイトをしている本人が支払う税金だけでなく、その家族の支払う税金についても考えてみます。例えば、アルバイトをしている人が親の扶養親族である場合、親の税金(所得税、住民税)が変わります。つまり、親の税金を計算する時に扶養控除が適用されれば、親の税金は安くなるのです。
この扶養控除の適用となるかどうかのラインも、年収103万円です(その家族の収入がアルバイトによる給与所得のみの場合)。つまり、年収103万円を超えると、親の支払う税金(所得税、住民税)が増えるということですね。
年収103万円を超えると、自分自身の所得税がかかると同時に、親などの税金も増えるということです。
では、社会保険についてはどうでしょうか? 雇用保険、健康保険、厚生年金の3つにおいて、勤務時間などで加入と非加入に分かれます。
◆雇用保険:1週間20時間以上、雇用見込み31日以上で加入
1週間あたりの所定労働時間数が20時間以上で、さらに雇用の見込みが31日以上の場合、雇用保険の加入義務が発生します。アルバイトであっても、この条件を満たせば雇用保険に加入することになります。
雇用保険は、失業時に手当が受けられ、在職中でも育児休業給付金や介護休業給付金、教育訓練給付などを受けられるもの。加入できれば労働者としての保障が得られて安心ですね。
もちろん、加入した場合は雇用保険料を支払うことになります。
◆健康保険・厚生年金:労働時間が正社員の4分の3以上で加入
アルバイトでも健康保険や厚生年金にも加入できる場合があります。
1日または1週間の労働時間が正社員のおおむね4分の3以上であり、かつ1カ月の労働日数が正社員のおおむね4分の3以上だと、健康保険や厚生年金に加入することになります。例えば、正社員の労働時間が週40時間の場合は、週30時間以上の労働で健康保険、厚生年金に加入となります。
ただし、勤務先が個人経営の飲食店などの場合は適用事業所にならず、加入はできません。また、2カ月以内の期間を定めて雇用される場合なども除外されます。
◆2016年10月から、短時間労働者の健康保険・厚生年金への加入対象が拡大
非正規労働者に社会保険を適用し、セーフティネットを強化するために、短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用が拡大されています。2016年10月から、以下の人が厚生年金・健康保険に加入することになりました。
・週の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金8万8000円以上(年収106万円以上)
・勤務期間1年以上(見込み)
・学生は適用除外
・従業員501人以上の企業(現行の適用基準で適用となる被保険者の数で算定)
また、2017年4月から、500人以下の企業でも
・労使合意(従業員の2分の1以上と事業主が社会保険に加入することについての合意)がある
・地方公共団体に属する事業所
のいずれかであれば、社会保険に加入することになっています。
◆健康保険・厚生年金に加入できれば、イザという時に安心
この健康保険や厚生年金に加入しておくと、たくさんのメリットがあります。健康保険からは、病気やけがで働けなくなった場合に傷病手当金が支給されます。支給期間は1年6カ月、金額は給料の3分の2相当です。
厚生年金も、加入すれば将来の年金給付が手厚くなります。老後に支給される老齢年金はもちろんですが、障害状態になった時に支給される障害年金、亡くなった時に遺族に支給される遺族年金の年金額が加算されます。
ただし、保険料が給料から天引きされます。例えば厚生年金の場合は9.15%の保険料率(2017年9月から)となっています。健康保険も加入する保険によって保険料率が決められています。それぞれ負担は大きいですが、保障も大きいので安心といえます。
◆加入できない場合は、被扶養者になれるかがポイント
アルバイトで健康保険や厚生年金の加入資格が得られない場合は、どうしたらいいのでしょうか?
20歳から60歳までは国民年金に加入しなくてはいけません。厚生年金に加入すれば、この国民年金にも加入していることになりますが、厚生年金に未加入だと、20歳を過ぎたら自分自身で国民年金に加入する必要があります。この場合、第1号被保険者として加入します。ちなみに保険料は月額1万6540円(令和2年度)。
サラリーマンの配偶者がいる場合で、年収130万円未満の場合は第3号被保険者になります。この場合は保険料負担がありません。
健康保険についてはどうでしょうか。年収130万円未満で、サラリーマンや公務員の親や配偶者がいる場合、その健康保険の被扶養者になるといいでしょう。保険料負担なしで健康保険の被保険者になることができます。
それ以外の場合、国民健康保険に加入することになります。保険料を納付する必要があります。年金、健康保険にアルバイト先で加入できない場合、会社員や公務員の家族の被扶養者になれるかどうかが、保険料負担ありなしの大きな分かれ目になります。
アルバイトでも勤務条件によっては社会保険へ加入することになります。アルバイトの給料から保険料が天引きされるので嫌がる人もいますが、それは会社も同じ。会社も保険料の負担があります。だからといって未加入のままにしておくのはいけません。労働者として守られる保険にしっかりと加入をして、イザという時の安心を得ておきましょう。
文=福一 由紀(マネーガイド)
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April 27, 2020 at 06:10AM
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