「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです
最近、痩身クリニックやジムの広告がよく目に入ってくる。どこもだいたいビフォーアフターが見事な別人になっているような広告だ。
そんな広告が目に入るのは、筆者が肥満体型だからだ。元々はそこそこ痩せ型で、20代中盤まではいくら食べてもいくら酒を飲んでも太らない体型だったが、30代手前くらいからおかしなことになってきた。なぜだ。これが中年太りか。
30代前半に結婚をし、家人に結婚式で着る服を半ば強制的に随分と下のサイズで購入され、結婚式までの半年間に自力で10kg体重を落とし、無事用意された服を着用して結婚式を行なうことができたという成功体験がある。その時の無駄な自信から「自分はいつでも体重を落とせる」と信じて疑わず、結婚式後は好きなだけ飲んで食べて運動もせず全く健康管理をしていなかった上に、コロナでリモートワークになり通勤という運動が減り、外に飲みに行けないストレスをウーバーイーツを散々使いまくって発散した結果、順調に体重が増えて現在に至る。どういうことだ。太らない理由がどこにも見当たらない。
年末の健康診断で今時珍しいタイプのけっこうキツイ医師に当たり、「今のところ体重以外異常はないけど、このままだと間違いなく成人病になるよ。ともかく体重を減らしなさい」と目も合わさず塩味満載に言われ、目が覚めた。
筆者にはまだまだ筆者の存在を必要としている幼子が2人もいる。このままでは太る一方で、いつなんどき命にかかわる病気になるかも分からない。そう考えた筆者は、ともかく健康診断基準の「標準体型」に戻そうと決心した。
実は筆者はリモートワークになってから通勤に使っていた時間を有酸素運動に充て、2日に1回は一応運動をしている。しかし出社がなくなると、家から会社までの往復や、オフィス内での席からミーティングルーム、席からプリンタ、席からトイレ、席から備品倉庫、席から飲み水・コーヒーの調達といった細々した移動による運動がなくなってしまうわけだ。リモートワークの場合、城にでも住まない限り、これらがだいたい10歩以内で収まってしまう。この差を2日に1回40分そこそこの有酸素運動で埋められるわけがない。しかしこれ以上運動に充てる時間はない。運動では減らせないならどうすれば……と考え、専門家の知恵を借りるためにパーソナルトレーニングジムの門戸をたたいた。
選んだのは「24/7ワークアウト」というパーソナルトレーニングジムだ。ここを選んだ理由は、「通勤につかっていた時間をジム時間に充てたい」という、筆者が希望する時間帯に営業しているからというとても単純な理由である。
ちなみにこの記事は、とんでもなく長い上にダイエットや筋トレのうんちくを語るつもりはない。「買い物山脈」というコーナーなのに、まさか何か(脂肪)を失うために金を払ったという、買い物なのかそうでないのかよく分からない減量体験の感想である。これ以上興味がない人はこの辺りで離脱することをオススメする。
思い描く自分を共有せよ
パーソナルトレーニングジムの入会前のカウンセリングでは、自分がどうなりたいのか、単に減量をしたいだけなのか、それとも理想の体型を手に入れたいのか(ボディメイク)の具体的な希望を聞かれた。
正直、痩せていた20代前半は病気続きだった。風邪をひきやすく、常に腹はワンダーランド状態。一緒に出かけた友人に「また腹ワンダー?」と腹の具合をたびたび聞かれ、当時付き合っていた人も筆者の体調が頻繁に悪くなるのを心配し、体温計を携帯して会うたびに筆者の体温を測った。ついでに最悪なのが、体力がなかったので昼休み時間にだいたい眠くなり、昼休みに会社の講堂のようなホールの床で寝ていたのだが(誰も来ないので)、ある日会社の偉い人がホールをたまたま訪れた際、床で爆睡している筆者を発見し、倒れていると思われ(当たり前)救急車を呼ぶ寸前の騒ぎになったことまである。今思えばとんだお騒がせ不健康野郎だ。
痩せ型ではなくなってからはそんなこともなくなり、風邪をひくこともほぼなくなって、二日酔いの時以外は常に体調は万全。転職時の面接で自分の強みを聞かれた時には必ず「とても健康です! ここ数年病気をしていません! 」と、昔の事を棚に盛大に放り投げて言っていたくらいだ。ということは、ある程度体重があった方が健康を保てるということになる。
……そんなことは偉そうに言われなくても社会人で毎年健康診断を受けていればみんな知っている……? 失礼しました。まあ要するに、筆者はそのあたりを全く気に留めたことがないくらい、健康に無頓着だった。
筆者の目的はより長く健康を保つことであることを伝えると、トレーナーはボディメイクを勧めてきた。ボディメイクと聞くと黒光りしたマッチョがステージでポーズをキメているイメージだったが、説明を聞いていると筋肉をつけることで代謝を促し、ついでに体も引き締まっていくという一石二鳥な内容だったのと、単なる減量よりも健康的であるということなのでそれにした。せっかくお金を払って体重を落としても、再び腹ワンダーランドに戻されてはかなわん。
次はゴールを決める作業だ。仕事でもそうだが、具体的なゴールの設定とその共有というのはとても大事だ。「夏の海で鍛えたボディを見せびらかしたい」というゴールでもいいが、具体的にどのようなボディを自分が理想としているかを伝える必要がある。そうでないと真剣佑のような細マッチョになりたかったのに、草野仁のようなゴリマッチョになる方向でメニューを組まれる可能性もある。
筆者は基本的にゆるふわで決して目立たず平均的で「いのちだいじに」を作戦とした余生を送りたいので、「ともかく全ての数値が厚生労働省が定義している標準範囲内におさまるようにしたい」というこれ以上ないほどの具体的な希望を伝え、じゃあそれでと方向性が決まった。
脂肪をキロいくらで落とす換算になるのか
次は現在の筆者の体を体組成計でスキャンし、筆者の希望の体重・体脂肪に至るまでのトレーニングメニューの構築と、どんな栄養素が1日いくら必要なのかをトレーナーが算出した。
筆者の場合、厚労省が設定した「標準体重」を目標体重に設定し、体脂肪も同じく標準以内を目標に設定したところ、目標まで22kgの減量だった。22kgて。10kgの米袋2つ分だぞ。ドラゴンボールの修行のようにその負荷を付けて何年も生活していたと考えると、減量後に何かしらの必殺技が使えるようになっていてもおかしくない。
ちなみに、トレーナー曰く「めっちゃ自社のエゴサしてます」とのことなので身バレを防ぐために、開始時の体重は伏せている。
筆者は標準よりもだいぶ筋肉量が多かったため、「筆者さんの場合は運動はそこそこに、食事と筋トレにかける比率を9:1にします」と、筋トレはほどほどに、ともかく食事を中心に脂肪のみを落とすことに集中することになった。さて、肝心の期間だが、2カ月で理想の体に! というのはどう考えてもエクストリームだろうと思い、6カ月かけて確実に脂肪だけを落とし、それを長く維持できるような体づくりをすることに決定。また、筆者は2日に1回の有酸素運動を既に行なっているため、パーソナルジムは週1回のプランで問題ないと言われた。そのためお値段はだいぶ安く済んだため、入会を即決した。
筆者が契約したコースの内容は以下だ。
期間: 6カ月(24回)
頻度: 週1回
1回の時間:75分(筋トレ、食事指導、シャワー・着替え)
総額:34万4,300円
よって、トレーナーの計画通りに減量に成功すれば、脂肪1kgあたり1万5,000円程度のコストで落とせる計算になる。
まあ、プロテイン購入や、家族と違うものを食べることになるのでそういった食材にかかるコストを考えるとそう単純な話ではないが、プロのアドバイスにかかるコストだと思ってもらいたい。ちなみに脂肪1kgはティッシュケース一箱分くらいの体積があるそうだ。筆者はそれを22箱分落とすことになる。ティッシュケース22箱で覆われた体を想像してみたらなかなか笑えない絵面だった。
1日1,300kcalで空腹にならないのか
さて、1日1,300kcalで脂質のめちゃくちゃ少ないメニューに制限された筆者の食生活だが、食事制限というと常に空腹がつきまとい、往年のボクシング漫画のように体内の水分を抜くために干し椎茸を口に含んで椎茸に戻すような相当過酷なものであると思っていた。
意外にものすごく食べるのだ。
設定カロリーこそ低いが、自分に必要な栄養を不足なく摂取しようと思うと、そこそこの量を食べなければならない。主に野菜だ。炭水化物の摂取量も制限されているため、根菜は使えない。よって葉物野菜とキノコ類を山盛り食べなければならないので、減量を始めてからほとんど空腹を感じたことはない。むしろ筆者の場合、大量の酒と塩分の多いツマミで夕飯を終わりにしているような生活を20年ほど続けていたため、3食ガッツリ食べるのがとても大変だった。
よく、減量ジムには「食事の写真を撮影してトレーナーに毎回送り毎度アドバイスをもらう」というサービスがあると聞くが、筆者の入会したジムでは、アプリに入力した食事と栄養素の内容をトレーニング日に見せるだけでいい。しかし担当トレーナー曰く、人によっては毎回食事の写真を送ってもらう人もいるという。
「食事の写真は特に必要ではないですよ。優等生であれば」とのことだ。
要は減量がうまく行っていない劣等生は食事に何かしらの問題があるため、写真を送らなければならないということになる。持ち栄養素の数値上限を上回らないようメニューを週イチで考えるだけでも面倒なのに、写真を撮影して毎度トレーナーに送るタスクを日々の生活に追加するなんてと思うと、とてもできる気がしないし、できる自分を想像できないため、ともかく優等生で居続けようと決心した。劣等生になってしまったら、脂肪は落ちないわ面倒なことをしなければならないわでいいことは1つもない。
ちなみにアプリに嘘を入力をしても、体組成計に乗れば数値の変化ですぐにバレるので嘘をつくメリットはない。食べすぎた時はしっかり入力し、トレーナーに相談をしてリカバリー方法を教えてもらう。ちなみに筆者は減量を始めてからは月1~2度ほど飲み会に参加しているが、次の日とその次の日で確実に体重を飲み会の前の状態に戻すように言われている。筆者の場合、だいたい体重を戻すには2日かかり、さらに週1日の面談(トレーニング時の食事指導)で体重が減っていないといろいろ言われるので、飲み会に参加した週は真面目に調整が大変だ。この調整がしんどいので月2度以上の飲み会は断るようになった。
飽きずに食事制限を続けるコツ
あれば筆者が知りたい。ぶっちゃけレタスの上にタコを乗せるかカツオを乗せるかささみを乗せるか程度しか変えていないメニューだったので2カ月で飽きた。作る工程も極力少なくて済むメニューを考えるのが面倒で、新しい食材や調理法を探していないからだ。
トレーニングを始めた最初の頃、担当トレーナーに「飽きずに食事制限を続けるコツ」を聞いてみたら、「市販のお手軽ダイエット食材に頼らないことですね」とのことだった。昨今話題になっている豆のパスタ、タンパク質多めのパン、高プロテイン低糖質カップラーメン、ダイエット用クッキーなどなどなど、いずれも「所詮パンはパン、パスタはパスタ、ラーメンはラーメンです。だったらダイエット食材として加工されているものではないものを食べて調整した方が美味しいし満足度高いですよ」と言われた。
ちなみにそのダイエット食材は、ジムに入会した次の日に全てAmazonで購入済みだった。
当たり前だが、食材は買う前にトレーナーに相談をすることをオススメする。なんのために高い金を払っているのかという話だ。
しかしこの話をほかのトレーナーにすると「えっ、あの人厳しいすね」と言われるので、トレーナーによって意見が変わってくることも念のため書いておきたい。あと、それらのダイエット食材を好んで食べている人もいるので、それらが美味しくないと言っているわけではないことも付け加えておきたい。
やってきた停滞期
スタートしてから2カ月で、脂肪のみ10kg以上の減量に成功した。と思ったらやってきたのが停滞期だ。停滞期は本当に、何をやっても落ちなかった。運動量を倍にしたり、食べる量をへらしてみたりしてもマイナス12kgから体重がびくともしない。基礎代謝より明らかにカロリーを摂っていないにも関わらずだ。小中学校のどっかで質量保存の法則というものを習った気がするが、あれは幻だったのだろうか。
全く落ちなくなってから2週間後。トレーナーが「まったく落ちませんね。ここはチートデイの出番ですね」と言ってきた。チートデイとは食事制限で抑えてきた栄養素、筆者の場合は炭水化物と脂質を一気に摂取するのが目的の日で、ともかく1日の摂取カロリーを3,000kcal以上摂ることを目指した脂質と糖質の祭りだ。ちなみに酒は何の栄養にもならない上に肝臓が他の栄養素を分解できなくなってチートデイの目的が達成できないのでダメだと言われた。
なんでも好きなものを食べていいと言われると意外と思いつかないため、トレーナーはチートデイに何を食べているのかを参考までに聞いてみたら、餅を1日20個食べると言われた。これほど参考にならない情報はあるだろうか。
トレーナーはまあいわゆるボディメイクのプロで素人の参考にならない生活をしているので、それ以上追求するのをやめておいた。筆者は無難にポテトチップスやアーモンドチョコレート、唐揚げに銀だこにコロッケなどを大量に食べてチートデイを終了した。ちなみに10代男子のおやつのようなこれらの食事は筆者の人生で一番ひどい胃もたれをもたらした。40代つらい。その甲斐あってか、チートデイ後にまた体重は順調に落ちるようになったので結果はオーライだ。
ウザがられる筋肉自慢
筆者は昔から、一緒に歩いている友人などが唐突にビルのガラスなどに写った自分の立派な筋肉をさすりながら「ここ(上腕)もっと筋肉つけたいんだよね」と言ったり、筋トレを始めたばかりの友人が脱衣所や鏡の前で上半身裸かタンクトップ1枚になった自撮りを送りつけて来たりするのが苦手だった。なぜならどういうコメントをしていいか分からないからだ。出てくる言葉はせいぜい「ソウナンダ(棒)」である。筆者は誰とでもそれなりに会話のキャッチボールが続く方なのだが、肉体自慢だけは正直どうコメントをしていいか分からない。Nintendo Switchのリングフィットアドベンチャーを買ってから、「ああ、なるほど、『ムッキムキ! 』、『キレッキレ! 』、『輝いてるよ! 』(←リングフィット内で出てくる台詞)というポジティブな励ましが正解なのか」と思ったが(正解なのか?)、それを覚えた後でも正直コメントに困っていた。
そんな筆者がだ、筋肉自慢っぽいことをやり始めたのだ。
ある日自分の腕を触っていると、今までなかった塊が指先に触れた。ある日自分の太ももを触っていると、今までなかった塊が指先に触れた。ある日自分の背中を触っていると……(以下略)。
この塊は筋肉だ。筋肉が育っている。中高と運動部だった筆者だが、毎日毎日毎日毎日走っても腹筋背筋しても全く筋肉は育たずどんどんひょろひょろになっていっていたのに、その時欲しかった筋肉が今ここにある……!!! う、嬉しい。なんだこの喜びは……!
その時からというものの、ちょっとした動作の際に自分の筋肉がまだそこにあるか、自分の筋肉は育っているのかを確認するようになった。また、家人や友人から「どう? パーソナルトレーニング? 」とトレーニングの進捗を聞かれた際に、ウキウキと「こうやって腕をひねると、ここに(筋肉)出てくるんだよ! こっち(脚)も、こうやってこの角度で、ほら!!! 」と見せるようになった。生まれたばかりの子どもの写真を見せまくっているお父さんのようだ。
当然みんな、コメントに困っていた。
40を超えた中年の中途半端な筋肉しかない二の腕やら太ももを見せられて、ナチュラルに盛り上がれる素人はいない。そんなことに若干気づいていても、ともかく自分が育てた筋肉を見せたくて仕方がなかった。今なら筆者に筋肉の自撮りを送りつけてきた友人の気持ちが分かる。そんな筆者の鼻息荒い筋肉自慢をやめさせたのは、筆者の子どもだった。ある日、筆者の腕に寄りかかってきた3歳娘に、筆者が「ほらほら、ここ(腕)触って! 」と言ったら「それもういい! 」とキレ気味に言われてようやく正気に戻った。普段からどれだけウザかったのかという話だ。
運動しすぎてもダメ。ストレスを酒で発散し丸1カ月分を無駄に
先ほど「停滞期に運動量を倍にした」と書いたが、体重が減った影響か筋トレの影響か、2日に1回の有酸素運動を毎日快適に行なえるようになった。運動が楽しくて仕方がなく、運動をしていない日は「今日運動してない。まずい」と焦りを感じるようになった。そんな筆者が運動の喜びをかみしめている最中、トレーナーが「計算よりも体重の落ちが悪いですね」と首をかしげるようになった。原因を探るため、トレーナーが筆者の生活の変化について聞いてきた際、「そういえば有酸素運動毎日やるようになりました」と言ったら、「それですよ! 運動しすぎると効率悪くなるんで、控えめにしてください」と指摘された。
日々のストレスを運動で発散し、運動ってサイコー★と今だかつてない幸福感に浸っていた筆者にとってこの指摘は衝撃だった。ついでに正直何を言っているのか分からない。運動をすればするほどエネルギーを使って体重は減るんちゃうんか。質量保存の法則仕事しろや。
トレーナーに控えめにしろと言われたので、しぶしぶ運動量を前の状態に戻した筆者に何が起こったかというと、ストレスを発散できない焦りから日常的な飲酒に走ったのだ。いっちゃんあかんやつや。
筆者は決して強いわけではないがともかく酒が好きで、飲みに行くのも好きだが家で一人で飲むのも大好きだ。よく泥酔する。
そんな筆者が日常的な飲酒をやめて減量を頑張っていたのだが、ここにきて発散する宛てのないストレスを酒で発散するようになってしまった。仕事が終わったらもはや息をするように酒を手に取り飲んでいた。そして最悪なことに、日常的な飲酒を始めたちょうどその頃、家族の体調不良や旅行などでトレーニングを数週間延期したので、トレーナーに飲酒を指摘されることがなかったのだ。
酒に走った筆者が1カ月後に何を見たか。それは、酒を飲んでいながらも一応摂取カロリーを規定範囲内におさめていたにもかかわらず、1カ月間体重が1kgも落ちなかったという事実だった。まじか。いやまじだ。
1kgも落ちていない筆者の数値を見たトレーナーは、明らかに落ち込んでいた。でもプロなので怒らず優しく接してはくれていて、筆者には余計それがきつかった。1kgも落ちなかったことよりも、今まで筆者を信じていろいろ筆者のためにトレーニングメニューを考えたり食事をいろいろ調べてくれたり生活のアドバイスをしてくれたりすぐ「無理」という筆者を励まし二人三脚で頑張ってくれていたトレーナーの信頼を裏切ったということがとてもつらかった。も、申し訳ない……。
ということで、酒はともかく減量の敵である。もちろんトレーナーに言われてはいたが、ここまでクリティカルなものだと思っていなかった。そして数字を見てようやく分かった。
しかし日常的な飲酒をやめるのは難しいだろうと思い、友人の協力を仰いだ。「毎日仕事が終わる時間あたりに飲まないようリマインドをしてほしい」という大変迷惑なお願いをしたが、ノリノリで引き受けてくれ、以下のようなメッセージを送ってくれるようになった。
まああちらも忙しいので3日で届かなくなったが、3日で日常的な飲酒をとりあえずやめられた。
結果はいかに
さて、紆余曲折あったが、6カ月の減量生活の成果はというと、マイナス20kgとなった。22kgの減量を目標としていたが、かなわなかった。しかし体重も体脂肪も一応ギリギリ「標準」範囲内に入っており、洋服もMサイズが着られるようになったので、とりあえず成果としては悪くない。
そして脂肪1kg減に対する価格だが、筆者の場合は最終的に1kgあたり1万6,500円をかけて落としたことになる。筆者のように息をするように酒を飲むような人間でなければ、もっとコスパが良くなると思う。
筆者としてはこの買い物(?)は悪くなかったと感じている。必殺技は使えるようになっていないが(あたり前)、筋肉と減量のおかげで3階建ての我が家の昇り降りを含め日々の生活が楽になったし、なんといっても一番うれしい変化が、あぐらの姿勢から立つときに手を使わなくてもスッと立てるようになったことだ。大河ドラマを観ながら「手を使わずに立ってるけどあれめっちゃ難しくないか……?」といつも思っていた武士の所作だ。極めてくだらないが、初めてできるようになった時「自分かっこよすぎる」ととてつもなく感動した。
あと、子どもと遊びに出かけても、無限に走り回ることができる幼子と一緒に遊んでいると、以前は数分動いただけで「ちょ、無理、ま、まってむり……」となっていたが、今なら10分は稼働可能だ(引き続き短い)。
中年になれば代謝も体力も落ちて体重が増えるのは致し方ないことだ。しかし守るべき家族がいる場合、健康を保つということは親として最大限努力しなければならないことだと筆者は思っている。もちろん、自分にはどうにもできない家庭の事情や病気やケガなどもあるので、「できる人は」に限るが。世の中にはさまざまな減量方法があり、一切お金をかけないのであれば食事の見直しを行なうだけで十分だし、お金をかけるのであれば医師が処方する体重を落とすことができる薬といったものも存在するので、筆者のように運動が好きな人でなければそういう方法で減量してもいいと思う。
筆者の問題は酒である。いくら好きだから、ストレスが溜まっているからといって、今までのように酒を飲んではいけないことがこの6カ月でよく分かった。ここをどう改善していくのかはまた別の方法を考えなければならないようなので正直面倒だが、子どもが大学を卒業するまでの残り18年(ス、スムーズにいけば……)は元気に働き金を稼がねばならないので、やらない選択肢はない。
とりあえず筆者としては、これから摂取カロリーを通常に戻した後どのように体重をキープできるのかをトレーナーと相談しながら調整していきたいので、コース修了者だけが契約できる月額プランを申し込んだ。年内いっぱいはパーソナルトレーニング生活を続けたいと思う。
最後の余談だが、1日1,000歩くらいしか歩かないと噂のPC Watch編集長の若杉氏(アラフィフ)と筆者が知り合っておよそ15年くらい経つのだが、若杉氏はこの15年ほぼずっと同じスリムな体型を保ち続けており、だいぶ不規則な生活を送っているのにどうやって体型を保っているのかずっと謎だった。今回の減量生活中に筆者と同様に食事の記録を付けているという若杉氏の食事記録を見せてもらったら、なんと1日の摂取カロリーが1,000kcal程度で、スーパーモデルのような食生活をしていた。お菓子も食べていないらしい。摂取カロリーが基礎代謝を大幅に下回っているので、若杉氏はその中消えてなくなってしまうのではないかと思っている。
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August 30, 2022 at 04:25AM
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