Wednesday, August 19, 2020

空き家の維持管理にはいくらかかる?主な費用やトラブル回避のポイントも - 金融・投資情報メディア HEDGE GUIDE

様々な理由で空き家を取得した人の中には、空き家の維持管理にいくら費用がかかるのか気になっている人も多いと思います。

維持管理に多額の費用がかかる、もしくは何らかのトラブルが生じる可能性がある場合は、空き家を所有するという方法以外を選んだ方が良いと言えます。

この記事では、空き家の維持管理にはいくら費用がかかるのか、主な費用とトラブル回避のポイントについて解説します。

目次

  1. 空き家の維持管理にかかる主な費用
    1-1.固定資産税
    1-2.都市計画税
    1-3.保険料
    1-4.水道光熱費
    1-5.修繕費用
    1-6.その他費用
  2. 空き家トラブル回避のポイント
    2-1.自分でしっかり管理する
    2-2.管理会社に委託する
    2-3.売却または賃貸する
  3. まとめ

1.空き家の維持管理にかかる主な費用

何らかの理由で空き家を所有している人の中には、空き家のまま所有を続けるべきなのか、売却や運用に切り替えるべきなのか悩んでいる人も多いのではないでしょうか?空き家の所有を続ける場合は維持管理に以下のような費用がかかります。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 保険料
  • 水道光熱費
  • 修繕費用
  • その他費用

費用負担が大きい場合は途中で資金不足を理由に空き家を手放さなくてはならないため、そのような事態に陥ることを未然に防ぐには維持管理費用を理解しておく必要があります。空き家の維持管理にかかる主な費用について詳しく見ていきましょう。

1-1.固定資産税

固定資産税とは、不動産の所有者に対して市区町村が課す税金です。市区町村が定めている固定資産税評価額に一定の税率をかけて算出します。

税率は原則1.4%となっているため、2,000万円の建物の固定資産税は2,000万円×1.4%の28万円となります。

住宅用地で200㎡以下の場合は固定資産税評価額が1/6になる優遇措置を受けられるため、3,000万円の土地の固定資産税は3,000万円×1/6×1.4の7万円です。

不動産の所有者は居住の有無に関係なく固定資産税を負担しなければならないという点に注意が必要です。

1-2.都市計画税

都市計画税とは、所有する不動産が都市計画法上の市街化区域に該当する場合に不動産の所有者に対して市区町村が課す税金です。固定資産税と同様に、市区町村が定めている固定資産税評価額に一定の税率をかけて算出します。

税率は原則0.3%となっているため、2,000万円の建物の都市計画税は2,000万円×0.3%の6万円となります。

住宅用地で200㎡以下の場合は固定資産税評価額が1/3になる優遇措置を受けられるため、3,000万円の土地の都市計画税は3,000万円×1/3×0.3%の3万円です。

固定資産税と合わせると、毎年数十万円程度の費用負担があることを覚えておきましょう。

1-3.保険料

誰も住んでいない空き家でも建物の老朽化や雷などが原因で火災が生じて建物が消失する、地震が原因で建物が倒壊する可能性があります。

建物が焼失または倒壊すると資産価値が低下するだけでなく、焼失または倒壊後の処理を行うのに費用がかかります。また、建物の経年劣化が進行すると、古くなった外壁の落下や台風で飛ばされた屋根などで他人にケガをさせる可能性があるので注意が必要です。

これらを未然に防ぐために、火災保険や地震保険に加入した場合には毎年数十万円程度の支出が生じます。

保険に加入しなかった場合には、損害賠償やがれき処理の費用などの多額の支出が生じる可能性があるため、誰も住んでいない空き家でも保険加入は必須と言えるでしょう。

1-4.水道光熱費

空き家といっても定期的に様子を見に行くことがあるため、水道や電気、ガスなどの契約を残したままの人も多いと思います。

水道や電気、ガスなどは、使用していない場合でも基本使用料がかかります。基本使用料は高額ではありませんが、毎年数万円程度の支出が生じるという点に注意が必要です。

1-5.修繕費用

空き家は誰かが居住している場合と比べて、劣化の進行が大きくなりやすいという特徴があります。

劣化が進行した場合には、雨漏りや外壁の落下などのトラブルが生じる可能性があるため、トラブルを未然に防ぐために定期的に修繕を行わなくてはなりません。

修繕費用は修繕内容によって数万円から数百万円と大きく異なります。放置すると事故が生じる可能性もあるため、必ず定期的に修繕を行いましょう。

1-6.その他費用

空き家に庭木がある場合には庭木が伸びすぎて近隣トラブルが生じる可能性があるため、定期的に剪定を行わなくてはなりません。自分で剪定を行う場合は費用がかかりませんが、造園業者に依頼する場合は1回あたり数万円程度の費用がかかります。

空き地を所有していると庭にゴミを不法投棄される可能性があります。不法投棄の犯人が見つかれば処分代を犯人に請求できますが、見つからなければ自己負担となるので注意が必要です。

空き家が豪雪地帯にある場合は、雪が原因で建物が倒壊する可能性があります。雪下ろしや排雪などを自分で行う場合は費用がかかりませんが、業者に依頼した場合は数万円程度の費用がかかります。

全ての費用が必ずかかるわけではありませんが、人によってはこれらの費用がかかるため、上記とは別に数十万円程度の費用がかかることを想定しておきましょう。

2.空き家トラブル回避のポイント

空き家の管理が疎かになっていると、資産価値が低下する、劣化が原因で他人がケガをして所有者責任を負ってしまう可能性があります。

また、倒壊リスクが高い、衛生上有害という理由などで特定空き家に指定された場合は固定資産税や都市計画税の優遇措置を受けられない、行政執行で建物を取り壊される可能性もあります。

【関連記事】放置した不動産が「特定空き家」に指定されたらどうなる?注意点や対策も

このような空き家トラブルを回避するには以下の3つの押さえておくことが重要です。

  • 自分でしっかり管理する
  • 管理会社に委託する
  • 売却または賃貸する

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

2-1.自分でしっかり管理する

トラブルを未然に防ぐには、以下のような管理をしっかり行う必要があります。

  • 換気
  • 通水
  • ゴミ拾い
  • 清掃
  • 目視点検

室内に湿気がこもってシロアリやカビが発生すると、建物の資産価値が低下します。また、排水口には虫の侵入や汚臭などを防ぐ封水と呼ばれる水が溜まる部分がありますが、水が蒸発した場合は虫が侵入する、汚臭が室内に充満します。

これらを防ぐためには、定期的に換気や通水を行わなくてはなりません。

落ち葉やゴミ、フンなどが落ちたままだと、異臭が発生する、害虫や害獣などが住み着いて近隣住民に迷惑がかかります。これらを防ぐためには、定期的なゴミ拾いや清掃が必要です。

また、定期的に目視点検を行えば、建物の劣化が原因によるトラブルを防ぐことができるでしょう。

2-2.管理会社に委託する

管理を自分で行うと一口に言っても、空き家から離れた場所に住んでいる場合は定期的に行うことが容易ではありません。管理にかかる手間と時間を軽減したい場合には、空き家を専門的に管理する管理会社に委託するという方法が挙げられます。

管理会社に委託すれば、先ほど触れたような業務を管理会社が代わりに行ってくれるため、手間と時間を軽減できます。

管理会社に委託した場合は委託費用がかかるため、さらに支出が増えてしまう点に注意が必要です。

2-3.売却または賃貸する

空き家のまま所有を続ける場合は、管理の手間と時間がかかる、管理会社に委託する場合も費用がかかります。手間と時間、費用を抑えたい人は、空き家を売却または賃貸することも選択肢の1つです。

売却した場合は、管理と手間を省ける、まとまったお金が手に入ります。賃貸した場合は、家賃収入が得られるため、固定資産税や都市計画税などの支出の一部を補えます。

将来的に空き家を使用する予定がない人は、所有を続けても手間と時間、費用がかかるので売却または賃貸した方が良いと言えるでしょう。

【関連記事】空き家を売却するタイミングは?費用や税金、売却の方法や戦略も解説
【関連記事】放置している空き家で賃貸経営はできる?メリット・デメリット、手順も解説

まとめ

空き家を所有している人の中には、そのまま所有を続けるべきか、売却または運用すべきか悩んでいる人もいると思います。

空き家のまま所有を続ける場合は維持管理に多額の費用がかかるため、途中で資金不足で空き家を手放すことにならないように注意が必要です。

この記事には、空き家の維持管理にかかる主な費用やトラブル回避のポイントをまとめています。費用負担を抑えたい、トラブルを防ぎたい人は、空き家の所有を続けるのではなく売却または運用するのも選択肢の1つと言えるでしょう。

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矢野翔一

矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。
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