Saturday, February 1, 2020

自宅の売却、税金はいくら?売主に課税される4つの税金を解説 - 金融・投資情報メディア HEDGE GUIDE

自宅を売却した際に課税される税金には、印紙税や消費税、登録免許税のように売買契約時に課税されるものと、譲渡所得税のように売却後の確定申告後に課税されるものがあります。これらの税金はそれぞれ支払うタイミングや、課税される計算式が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

今回は、自宅売却に課税される税金を知りたい方向けに、自宅の売却で課税される税金と、その節税対策について解説します。

目次

  1. 自宅の売却で課税される4つの税金

    1-1.自宅の売却で利益が出ると「譲渡所得税」が課税
    1-2.不動産の所有権移転を行うと「登録免許税」が課税
    1-3.売買契約書に必要な「印紙税」が課税
    1-4.仲介手数料などの諸費用に「消費税」が課税

  2. 譲渡所得税を免除できる3,000万円の特別控除とは
  3. まとめ

1.自宅の売却で課税される4つの税金

自宅を売却する際は、売買契約を仲介した不動産会社に支払う仲介手数料、各種税金などの費用がかかります。仲介手数料は決済時に支払いますが、税金の中には支払いまでにしばらく時間がかかるものがあります。

自宅の売却代金にかかる税金は主に以下の4つです。

  1. 譲渡所得税
  2. 登録免許税
  3. 印紙税
  4. 消費税

それぞれの税金について詳しく見ていきましょう。

1-1.自宅の売却で利益が出ると「譲渡所得税」が課税

譲渡所得税とは、自宅を売却して利益が生じた場合に課税される税金です。自宅の売却で利益が生じた場合は、譲渡所得税以外に住民税、復興特別所得税が課税されます。これらの税金は給与や報酬などとは別途計算される分離課税となり、確定申告で具体的に税金をいくら納めるのかが確定します。

下記は自宅の売却で利益が生じたかどうかを判断する際の計算方法です。

課税譲渡所得=(譲渡価格+減価償却費)-取得費-譲渡費用(諸経費)

自宅の購入価格は、購入時の価格ではなく、減価償却費という建物の対応年数から算出する価値の減少(経年劣化)を引いた価格になります。土地は経年劣化という概念がないため、建物のみ減価償却費を算出します。

諸費用とは、売買契約の仲介を不動産会社に依頼した場合の仲介手数料、印紙税、解体して売却した場合に生じる解体費などです。これらを引いてプラスになった場合、譲渡所得税や住民税、復興特別所得税がかかります。

それぞれの税率は、自宅の所有期間によって異なります。下記は自宅の所有期間が5年以下(短期譲渡所得)の場合と5年超(長期譲渡所得)の場合の税率です。

  • 短期譲渡所得:所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%=39.63%
  • 長期譲渡所得:所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%=20.315%

所有期間が5年を超えるかどうかで税率が倍近く異なるため、登記簿謄本などで正確な物件の取得日を確認しておくと良いでしょう。5年を超えるかどうかの判断は1月1日が基準です。

2015年4月1日に購入した自宅を2020年4月1日に売却しても、1月1日時点ではまだ4年しか経過していません。この場合、2021年1月1日を過ぎてようやく5年を経過するので注意が必要です。

1-2.不動産の所有権移転を行うと「登録免許税」が課税

登録免許税とは、不動産の所有権移転といった権利関係の手続きを行う際に国に納める税金です。所有権移転にかかる登録免許税の税率は、固定資産税評価額×2.0%です。

登録免許税を算出する際は、固定資産税の評価額であり自宅の売却価格が基準ではない点に注意が必要です。また、通常の登録免許税の税率は2.0%となっていますが、2021年(令和2年)3月31日までに売却した場合は1.5%に軽減されています。

売主と買主が連帯して所有権移転にかかる登録免許税を国に納めることが出来ますが、取引慣例上では買主が納めることが多くなっています。登録免許税を折半、もしくは売主負担にする場合、売主側は物件価格を上げることで実質的な負担を無くせるためです。

1-3.売買契約書に必要な「印紙税」が課税

印紙税とは、契約書や領収書といった文章を作成した場合に印紙税法に基づいて課税される税金で、印紙税の金額は自宅の売却額によって異なります。印紙税の主な金額は以下の通りです。

  • 500万円超1,000万円以下:1万円
  • 1,000万円超5,000万円以下:2万円
  • 5,000万円超1億円以下:6万円
  • 1億円超5億円以下:10万円

2020年3月31日までに作成される売買契約書については、上から順に5,000円、1万円、3万円、6万円と軽減されています。

仮に、売買契約書をPDFで作成してオンライン上で契約を締結した場合は、紙媒体ではないので印紙税はかかりません。また、売買契約書を2通作成する場合には2通分の印紙税がかかりますが、1通をコピーで対応すれば1通分の印紙税に抑えることが可能です。

1-4.仲介手数料などの諸費用に「消費税」が課税

不動産会社へ支払う仲介手数料や、司法書士に支払う登記手続きを費用などの報酬に消費税が課されます。自宅の売却では、このような諸費用の一部に消費税が課税されることを覚えておきましょう。

一方で、不動産売買において土地の売却代金には消費税が課されないとされています。土地は消費するという概念に合わないと考えられるためです。建物の売却代金には消費税が課される・非課税となる2つのパターンがあります。

個人と個人が売買する場合には、建物の売却代金には消費税が課されません。不動産会社が売買契約を仲介しても、契約は個人間で行うため同様です。しかし、課税業者の法人や個人事業主が売主となった場合は、個人間の取引ではないため消費税が課される点には注意が必要です。

個人の自宅の売却では物件の売却による消費税の課税はありませんが、仲介料や登記費用などの諸費用、課税事業者は建物部分に消費税が課税されることを押さえておきましょう。

2.譲渡所得税を免除できる3,000万円の特別控除とは

自宅の売却で譲渡益が出た際に課税される譲渡所得税ですが、3,000万円の特別控除を受けることが可能です。

3,000万円特別控除とは、自宅を売却する場合に適用される特例です。過去に住んでいて、現在は住んでいないという場合でも、住まなくなってから3年目の年末までに売却すれば適用対象となります。

その他、3000万円の特別控除が適用される条件については国税庁「マイホームを売ったときの特例」で確認することが出来ます。

このように、3,000万円特別控除を利用すれば、自宅の売却で得た譲渡所得が3,000万円以下の場合には譲渡所得税が課されません。仮に譲渡益が3,000万円を超えた場合でも、超える金額に対して、短期譲渡所得又は長期譲渡所得などの税率を適用することになるため、3000万円分の控除を受けることが出来ます。

自宅の売却時に譲渡益が出た際には忘れずに確定申告し、特別控除を受けましょう。

まとめ

税金の中には、印紙税や消費税、登録免許税のように売買契約時に課税されるものと、譲渡所得税のように売却後の確定申告後に課税されるものがあります。

想定外の税金支払いで慌てないように、自宅の売却によってどのような税金がどのくらいかかるのかを事前に確認し、備えておきましょう。

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矢野翔一

矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。
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