「貯金1億円」という金額を聞くと、どのように感じますか? なんとなく「1億円あれば、とりあえずどんなことがあっても大丈夫」という安心感がありませんか? また、1億円の貯蓄は、かなりハードルが高いと感じる人もいることでしょう。
当然、人によってそれぞれ状況は異なります。将来は田舎に帰るので、もっと少なくても十分というケースもあれば、いつか独立したいので、若いうちにできるだけ多く資産を作っておきたいというケースもあるでしょう。
では、具体的に1億円を貯めるには毎月いくら貯金をする必要があるのでしょうか。本稿では、年齢が同じの2つのサンプルを用いて検証してみます。あくまでサンプルですので、それぞれの状況に応じてアレンジして考えてみてください。
1億円貯める目的は?
「そもそも1億円あれば……」と考える現実的な理由は何なのでしょうか。若い夫婦が、「今1億円あれば、住宅ローンなしで住まいが取得できるのに」と考えるのは夢想であり、現実的なものではありません。努力すれば何とか現実のものとなり、考えている暮らしが手に入る、その「考えている暮らし」とはどのようなものなのでしょうか。
「豊かな老後」が目的なのか、「いつか起業する夢のための資金」なのか……。それぞれ必要とする時期も貯蓄の方法も異なります。自分に当てはめて考える際には、最初に目的を再確認しましょう。
条件を設定して検証してみよう!
30歳の夫婦と独身者が、それぞれ豊かな老後生活に向けて60歳までに1億円を達成することを条件として設定してみましょう。
給与額や預貯金額などは、統計値より大卒男女の標準的な額を設定しています。マンション購入直後なので、預貯金は低めになっています。1億円達成年齢は60歳とし、30年間運用する前提で計算しています。
堅実に資産形成するには、元本保証の預貯金で一定範囲確保することは重要です。半面、利回りの低い定期預金等だけでは一般的な収入で1億円達成するのは難しくなります。そこで預貯金のほかに、確定拠出年金や株式投資なども一定比率で運用することとします。
企業年金連合会が2019年2月に発表した確定拠出年金通算利回りは2.8%となっていますので、確定拠出年金などへの毎月の必要投資額を算定するための運用率は2.8%で計算しています。株式などへの投資は4%で計算しています。
30歳結婚間もない夫婦のケース
条件設定
・夫婦とも年齢30歳、子どもなし
・子どもは35歳までに第2子を予定
・2人とも正社員の共働きで、ともに定年まで働く予定
・夫年収450万円、妻400万円
・老人ホームの入居費と生活費に1億円貯めたい
・結婚と同時に住まいを取得し、2人でローンを組んで返済中。50%ずつの共有名義
・負債は合計4,000万円、30年ローン、金利1.5%の固定金利
・貯蓄残高はそれぞれ200万円ずつある
検証
夫婦の年収は850万円ですが、手取りは約8割として680万円ほどと考えると、月平均56.6万円となります。表の必要貯蓄額の合計を差し引くと生活費は24万円となり、かなり厳しいかもしれません。2人のボーナスは全額貯蓄し、片方の月収で生活する必要があります。
教育資金は第1子が15歳となるまでの18年間で用意する設定です。子どもは2人とも高校は公立、大学は私立で計算しています。実際は第2子が15歳になるまでさらに2年間ほどの猶予がありますし、大学入試までにはさらに3年間の期間があります。現在から第2子の大学卒業までは、27年ほどあります。したがって実際の毎月必要な貯蓄額はもう少し減らしても大丈夫です。
住まいは4,500万円程度の購入価格で30年経過して2,500万円と試算しています。市場価値の高いエリアや立地条件によっては、当初の価格を維持するケースもあるかもしれませんが、子育て環境も考えて郊外設定とし、査定を低くしています。
対策
何よりも2人とも正社員として働き続けることが重要です。しかし、子どもが生まれれば、思うように働けなくなる可能性も想定しておく必要があります。最低限ローン返済は必要ですので、子どもが生まれるまでに、確実に貯蓄額を増やしておくことがポイントです。
この夫婦の厳しい期間は妻の育児休暇期間です。反対に、子どもが独立した57歳から60歳までの数年間を考えると、それぞれ1,000万円近い収入があるかもしれません。手取り740万円として、毎年1,000万円近い貯蓄も不可能ではありません。この期間に集中して貯蓄する前提とすれば、万一不測の事態が起きて、思うように拠出でない時期があっても、そう慌てる必要はないでしょう。
30歳独身者のケース
条件設定
・30歳独身会社員
・結婚の予定はない。一生独身前提で1億円貯めて、老後はのんびりしたい
・正社員で勤務。年収450万円
・今年マンション購入。負債は3,000万円、30年ローン、金利1.5%の固定金利
・貯蓄残高は200万円
検証
夫婦の事例と異なり、教育費の準備は必要ありません。1人であれば思いきった投資も可能なので、投資の比率を増やしています。
また単身ですので、あまり郊外でない立地の良いマンションを設定しており、30年経過の値下がりは低めに算定しています。部屋数も少なめに価格設定しています。
表の設定だと月々約21万円拠出しなければなりません。年収450万円ですので手取りは360万円ほどとすると、月々30万円ですので、手元に9万円しか残らず、生活費が不足します。
対策
当面は全体として5万円ほど金額を減らして、無理をせずに、給与の上昇に応じて資産形成に拠出する額を増やしていくとよいでしょう。
ただし単身ですので、病気やケガで働けなくなった際は、かなりリスキーです。万一の場合でも一定期間生活でき、住宅ローンを返済していけるように、当面は安全な預貯金で一定金額までプールすることがポイントです。
預貯金や確定拠出年金などで老後の資金をプールするにつれて、リスクも少なくなり、かつ給与も上昇しているでしょう。そのときに思い切って投資額を増やしてもよいでしょう。
上記の2つの事例で、何を感じられたでしょうか。
安定した収入の下で働き続けることの大切さは当然ですが、意外に住まいの資産価値が重要だと思いませんか? 考えてみれば膨大なローンを払い続けるのですから当然ですが、資産価値の落ちにくい住まい選びが、老後の安定に大きく影響します。
また、それぞれのケースで、いつリスクが高くなるのかがわかると思います。資産形成には、自分たちの弱点がいつ・どこにあるのかをしっかり把握し、対策を講じながら進めていくことが成功の秘訣です。
筆者プロフィール: 佐藤章子(さとうあきこ)
一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
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February 03, 2020 at 08:26AM
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