Monday, May 4, 2020

ビタミンCは熱に弱いという迷信|ウイルスにもガンにも 野菜スープの力(幻冬舎plus) - Yahoo!ニュース

前田浩

病気予防に効果的な野菜スープ。そのレシピから、ウイルス・ガンはもちろん、現代社会が抱える問題まで徹底解説した『ウイルスにもガンにも野菜スープの力』(前田浩著)から、一部を抜粋してお届けします。抗がん剤の世界的研究者による、健康になるための一冊です。 *   *   *

野菜からビタミンCを摂(と)る方法は、サラダ=生食が一番良いとされてきました。 

しかし、私達の実験の結果では、有効成分の90%以上が生では野菜の細胞の外に 出てこないのです。これでは栄養素の大半は消化管を通りそのまま排泄(はいせつ)されてしまいます。ビタミンCも例外ではありません。

それではなぜ、ビタミンCは生で摂らなくてはいけないという考えが広まったのでしょうか?

従来の説の根拠は、実は試験管の中での話だったのです。

実験室でビタミンCの純品を使い、水溶液を作り、それを加熱すると 10~ 20分の沸騰で90%以上が酸化され、分解し、栄養価がなくなるという結果が出たのです。

しかし、私達が野菜に含まれるビタミンCを摂ろうとした場合、ビタミンCは野菜の細胞の中に入っていますので、まずは細胞壁の外へ取り出さなければなりません。それには、加熱するのが一番なのです。

しかも、ビタミンCは他のポリフェノールなどの抗酸化物質と共存していますので、抗酸化作用のお蔭で、加熱してもほとんど分解されずにすみます。

ジャガイモなどは 30分煮ても、含有するビタミンCが 60%も残っていました。

ここでも実験室の結果やデータだけでものを考えるのではなく、実際の場面、 生活の現場を想定して実験・検証することの大切さが再認識されました。

また、こうした実験結果が誤って伝わることの怖さも、私達研究者は知っておかなくてはならないとつくづく思います。

■前田浩
1962年東北大学農学部卒業/1964年カリフォルニア大学 (Davis 校)大学院修了(フルブライト奨学生)/1968年東北大学大学 院博士課程修了(指導:医学部石田名香雄教授)、東北大学医学部細菌 学講座助手、ハーバード大学ダナ・ファーバーガン研究所主任研究員/1971年熊本大学医学部微生物学講座助教授/1981年同教授/ 2005年熊本大学名誉教授(医学)、同年崇城大学薬学部教授、2011年 同特任教授/2016年同栄誉教授、現在、(財)バイオダイナミックス研 究所理事長・所長/大阪大学招聘教授(医学)、東北大学特別招聘プロフェッサー〈研究テーマと抱負〉高分子型抗癌剤、癌血管の透過性にかかわる現 象の EPR 効果、感染における生体内ラジカルの生成、炎症による生 体内活性酸素と抗酸化食品による癌予防、癌の蛍光ナノプローブに よる検出と光照射療法\n〈受賞歴〉日本細菌学会浅川賞、高松宮妃癌研究基金学術賞、ドイツ生 化学会および国際 NO 学会の特別号発刊により顕彰、王立英薬学会 Life Time Achievement Award受賞、日本DDS学会 永井賞、日本癌 学会吉田富三賞、2016年トムソン・ロイター引用栄誉賞(化学部門)、 米国ミシガン州Wayne State Universityより2017 Roland T. Lakey 賞受賞、2018年瑞宝中綬章受章、西日本文化賞、米国サンアントニオ 市名誉市長、米国オクラホマ州名誉州民など多数〈趣味〉ワイン\n \n 

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