福島大の鹿野仁美研究員（３１）は、県北地方特産のあんぽ柿に含まれるビタミンＡ１の量が生柿に比べ約３倍多いことを最先端の分析機器を使い突き止めた。ほかにも二日酔い予防に効果のあるとされるビタミンＢ６を多く含んでいることも発見。生産者がこれまで経験則で説明してきたあんぽ柿の美容、健康効果を裏付ける結果となった。
鹿野氏は「ほかの特産品についても分析を進め、福島県を盛り上げたい」と強調。共同研究したＪＡふくしま未来の担当者は「（あんぽ柿の）新たな消費者の開拓につながる」と述べ、原発事故で落ち込んだ消費の回復や販路拡大に期待を込めた。
鹿野氏は同大食農学類の平修教授の下で研究を続けてきた。成分とその量を色分けした視覚イメージとして「見える化」できる分析機器「イメージング質量分析装置」を使い、伊達市梁川町の農家から提供を受けた柿とあんぽ柿の断面を分析した。
この結果、あんぽ柿はしわとりなどの美容効果があるとされるビタミンＡ１の含有量が生柿の３．４倍で、特に外側に多く含まれていたことが判明。ビタミンＢ６は２．３倍、かっけを予防するビタミンＢ１は２．５倍とそれぞれ多く、いずれも種に近い部分に含まれていたことが分かった。
生柿のビタミンＡ１は表皮にしかなく、あんぽ柿の製造工程で表皮は削って廃棄されている。平氏によると、あんぽ柿にビタミンＡ１が含まれていることは分かっていたが、含有する量や位置は不明だった。ビタミンＡ１が生柿よりも増える理由については、干して日光に当てることでβカロテンがビタミンＡ１に変わったとみている。
ＪＡふくしま未来、消費者開拓に期待
あんぽ柿の出荷量は原発事故前の約７割にとどまるなど、風評の影響は根強い。同ＪＡの須田淳一企画部長は「（あんぽ柿に）新たな付加価値が付いた。『美容のためのあんぽ柿』など新しい売り方を考えたい」と展望を語った。
論文は、日本油化学会の英文誌「ジャーナル・オブ・オレオ・サイエンス」の８月号に掲載される予定。
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June 16, 2020 at 07:05AM
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「あんぽ柿」に極上成分！美容・健康効果を実証 福島大研究員 - 福島民友
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