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次世代コンシューマ機や対応ソフトの情報が次々に公開され,世界中のゲーマーがソワソワし始めている昨今。とはいえ,「ゲームライターとしてのキャリアにおける,最後の大型ハードウェアローンチになるかもしれない」という予感もあるだけに,これまでのような,華やかな発表会が開催されない状況に,少ししんみりしている筆者だ。そんな中,消費者として気になるのは,次世代コンシューマ機に対応したソフトウェアの価格帯が上昇するかもしれないということ。今週は,その可能性について考えてみたい。
10ドル/1000円高い次世代機向けゲームソフトは
アリかナシか?
2K Gamesの「NBA 2K21」のPlayStation 5/Xbox Series X版が,これまでより10ドル高い「69.99ドル」(日本語版の希望小売価格は8000円)でリリースされることが明らかになり,これが次世代コンシューマ機の新価格帯になるのではないかと欧米ゲーマーの話題になっている。
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大手パブリッシャの次世代コンシューマ機向けソフトの価格が公けされたのは,この「NBA 2K21」が初めてのことになりそうだが,アメリカで前回,コンシューマ機向けソフトの価格が上昇したのは,「第6世代」とも呼ばれるPlayStation 3/Xbox 360が登場したときだった。それまで15年近く「ゲームの値段」として定着していた49.99ドルから59.99ドルに上昇したことが,ゲーマーの間でちょっとした議論になった。
とはいえこの時代,つまり2005年から2006年頃はまだSNSが一般的なコミュニケーションツールではなく(例えば,Twitterのサービス開始は2006年),議論はいつの間にか終息していったという印象だったが,もし「69.99ドル」が次世代機向けソフトの新たなスタンダードになるのであれば,今ならSNS上で広範な議論が交わされることになるだろう。
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ちなみに,価格について2Kは詳しい説明を行っていないが,人気スポーツのライセンス作品などは開発費が上昇せざるを得ない宿命を背負っていると言える。2Kの親会社であるTake-Two Interactiveが2018年にNBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)に支払った公式ライセンス料は,7年契約で11億ドル(約1180億円)とされており,これが開発費に組み込まれることになるからだ。
もっとも,次世代機向けソフトの価格については,現段階で不確定要素も多い。Electronic Artsが6月に開催したオンラインイベントト「EA Play Live」で同社は,「FIFA 21」や「Madden 21」が,欧米ゲーム業界で「デジタル・エンタイトルメント」(デジタル所有権)と呼ばれるスキームに準じることを発表した。これは基本的に,PlayStation 4版を持っていれば無料でPlayStation 5に,またXbox One版を持っていれば無料でXbox Series X版にアップグレードできるというもので,次世代機の購入を考えている人には嬉しい話であり,また,メーカーとしても現行機種版の買い控えを抑えることができる。
Microsoftもまた,Xbox Series Xの発売以降にスタートするアップグレードサービス「スマートデリバリー」を基本無料で行うことを表明するなど,ソフトの価格についての考え方は,パブリッシャによって異なるというのが現状であるようだ。
世代を重ねるごとに上昇する開発コスト
この件について北米のゲームメディアGamesIndustries.bizは,IT関連のリサーチやコンサルティングを行う調査会社IDG Consultingにインタビューを行っている。同社のCEOを務めるヨシオ・オザキ(Yoshio Osaki)氏は,「映画のチケットは,この15年で39%上がったし,Netflixは100%,ケーブルテレビの視聴料も105%上がっている」とし,エンターテイメントビジネスでは商品やサービスの価格向上はごく普通のことだという認識を示す。そのうえで,PlayStation 3やXbox 360の時代と比較して,次世代機向けのゲームは大規模化し,開発費は200〜300%も上昇しているはずだと述べるなど,次世代機向けのソフトの価格上昇は避けられないという考え方であるようだ。
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次世代機向けソフトだけでなく,現在でも,いわゆるAAAタイトルには膨大な開発予算が投入されている。例えば,4月20日に掲載した本連載の第644回「ダン・ハウザー氏が引退したRockstar Games。その歴史を振り返る」でも紹介したように,Rockstar Gamesが2018年にコンシューマ機版を発売した「レッド・デッド・リデンプション2」では,1600人の開発者と7年もの歳月が投じられたという。
具体的な開発費についてはこれまで明かされたことはないが,ゲームジャーナリストのディーン・タカハシ(Dean Takahashi)氏は,専門家の意見を聞きつつ,マーケティング費用込みで「レッド・デッド・リデンプション2」の開発費は9億4420万ドル(約1010億円)に達したであろうと試算して(関連記事),ゲーマー達を驚かせた。
2010年にリリースされた前作「Red Dead Redemption」の開発費が8000万〜1億ドル,さらに2013年の「グランド・セフト・オート V」の開発費が2億6500万ドルだったという噂もあるので,Rockstar GamesのAAAタイトルは明らかに規格外だろうが,人気シリーズの最新作にはかなりの予算が必要なのは確かだ。
リーマンショック以降,多くの国や地域で急激なインフレが進んだことに伴い,タカハシ氏の記事で「開発費の3分の2を占める」と書かれる人件費も急増している。そのことを考えれば,59.99ドルから69.99ドルという,15%ほどの値上げは許容範囲かもしれない。
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もちろん,消費者の1人としてはゲーム価格の引き上げは止めてほしいと思っているが,ゲームジャーナリストとしてはパブリッシャが価格の引き上げを望んでいることも感じている。
インディーズゲームの爆発的な増加によって画一的な「ゲーム価格」は崩れつつあるし,「Fortnite」のように,基本プレイ料金無料ながらも2019年に2000億円近い収益を挙げた例もあり,ビジネスモデルは多様化している。ゲーム業界は比較的好調ではあるものの,世界的な経済の減速が避けられないと予測される中,ゲームメーカー各社は難しい舵取りを迫られそうだ。
著者紹介:奥谷海人
4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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