ソニー生命保険は、大学生以下の子どもがいる保護者1000人を対象に実施した、「子どもの教育資金に関するアンケート調査」(9回目)の結果をまとめ、3月8日付で発表した。
それによると、子どもの教育や教育費に関する内容について、自身の考えや状況がどの程度あてはまるかを聞いたところ、「子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まると感じる」では、「非常にあてはまる」が14.6%、「ややあてはまる」が48.1%で、合計した「あてはまる」は62.7%になった。
「老後の備えより子どもの教育費にお金を回したい」では、「あてはまる(計)」は59.3%、「早期の知育や英才教育は子どもの将来のために重要だ」では、「あてはまる(計)」は66.8%で、老後の備えよりも教育費を優先したい親や、子どもの将来を考え早期教育という先行投資を重視している親が多いことが分かった。
また、「スポーツや芸術の習い事よりも学習塾に教育費をかけたい」では、「あてはまる(計)」は40.9%と半数未満で、学習塾よりも習い事にお金をかけたい親が多数派だった。
子どもの大学など(大学・短期大学・専門学校:以下同様)への進学に関する意識について聞いたところ、「多少費用がかさんでも進学させたい(計)」(「非常に」と「やや」の合計:以下同様)が84.5%、「費用がかさむなら進学させなくてもよい(計)」が15.5%だった。
子どもの大学などの入学金・授業料などの費用については、「費用にこだわらず子どもの希望を優先させたい(計)」が77.1%、「費用が極力抑えられる学校を選択させたい(計)」が22.9%となった。
子どもの学校への通学については、「自宅から遠ければ下宿や寮生活をさせてもよい(計)」が45.4%、「自宅から通える学校を選択させたい(計)」が54.6%で、家賃や生活費がかかる下宿や寮生活よりも、自宅からの通学を希望する親が半数を超えた。
子どもの学生時代のアルバイトについては、「アルバイトはせず学業に専念してほしい(計)」が42.2%、「アルバイトをして学生生活の費用に充ててほしい(計)」が57.8%だった。
また、海外留学や海外研修については、「多少費用がかさんでも経験させたい(計)」が58.4%、「費用がかさむなら経験させなくてもよい(計)」が41.6%。海外で得られる経験は貴重だと捉え、海外留学や海外研修にかける教育費は惜しむまいと考える親が多数派だった。
「子どもの教育費の負担を重いと感じるか」を聞いたところ、「あてはまる(計)」は61.1%で、就学段階別にみると、「あてはまる(計)」と回答した親の割合は、未就学児の親では48.8%、小学生の親で49.6%、中高生の親で66.3%、大学生などの親で79.4%だった。
子どもの教育費の負担を重いと感じる親の割合を過去の調査結果と比較すると、2021年63.9%→2022年61.1%と微減している。
「インターネットやSNSの利用」については、「不安を感じる(計)」が70.3%で、就学段階別にみると、「不安を感じる(計)」と回答した親の割合は、中高生の親(76.6%)が最も多かった。
子どものインターネットやSNSの利用に不安を感じる親の割合を過去の調査結果と比較すると、2020年64.7%→2021年69.7%→2022年70.3%と、2年連続で上昇した。
「教育資金について、どの程度不安を感じるか」を聞いたところ、「不安を感じる(計)」は71.7%で、就学段階別にみると、「不安を感じる(計)」と回答した親の割合は、中高生の親(75.0%)が最も高かった。
教育資金に不安を感じる理由を聞いたところ、「教育資金がどのくらい必要となるか分からない」54.5%が最も多かった。
以下、「収入の維持や増加に自信がない」38.8%、「社会保険料の負担増」25.9%、「収入が不安定」25.5%、「病気やケガで収入が途絶えるリスク」23.8%と続いた。
「家計や教育へのコロナ禍の影響」について聞いたところ、「子どもの教育に対する不安」では、「増加(計)」(「非常に」と「やや」の合計:以下同様)が76.6%、「減少(計)」が23.4%で、コロナ禍で子どもの教育に対する不安が増加した親が7 割半となった。
就学段階別にみると、「増加(計)」と回答した親の割合は、大学生などの親(79.8%)が最も多かった。コロナ禍で対面授業がオンライン授業に変更されるなど、通常通りの教育が受けられなくなることに対し、不安を感じる親が多いと思われる。
家計や教育費についてみると、家計では「改善(計)」が34.7%、「悪化(計)」が65.3%となり、子どもの教育費では「増加(計)」が52.4%、「減少(計)」が47.6%だった。
「コロナ収束後は、子どもの教育費を増やしたいと思うか」を聞いたところ、「増やしたいと思う(計)」が67.4%、「増やしたいとは思わない(計)」が32.6%だった。
教育資金についてみると、「教育資金としての備え」では、「増加(計)」が42.1%、「減少(計)」が57.9%となった。
コロナ禍による家計の状況の変化別にみると、「減少(計)」と回答した親の割合は、家計が悪化した親では70.3%と、家計が改善した親(34.6%)に比べて35.7ポイント高かった。「教育資金に対する不安」では、「増加(計)」が70.8%、「減少(計)」が29.2%。
コロナ禍による家計や教育費の状況の変化別にみると、「増加(計)」は、家計が悪化した親では75.7%と、改善した親(61.6%)に比べて高かった。また、教育費が増加した親では80.6%と、減少した親(60.1%)に比べて高くなった。
未就学児の親(248人)に、子どもが小学生から社会人になるまでに、教育資金はいくらくらい必要だと思うかを聞いたところ、「1000万円~1400万円位」34.2%に回答が集まり、平均予想金額は1377万円になった。
平均予想金額を過去の調査結果と比較すると、2020年1381万円→2021年1266万円→2022年1377万円と、昨年から111万円増加した。平均予想金額は、2020年から2021年にかけて大幅に減少しているが、今年は2年前の2020年と同水準になった。
スポーツや芸術などの習い事、家庭学習、教室学習のそれぞれに1カ月いくらぐらい支出しているか聞き、それぞれの平均支出金額を合計したところ、1万4429円/月になった。
平均支出金額の合計を過去の調査結果と比較すると、2021年1万3267円→2022年1万4429円と、1162円の増加となった。
就学段階別に平均支出金額の合計をみると、未就学児の親では8916 円/月、小学生の親では1万5394円/月、中高生の親では2万580円/月、大学生などの親では1万2754円/月となった。
平均支出金額の合計を過去の調査結果と比較すると、大学生などの親では、2021年9881円→2022年1万2754 円と、昨年と比べて2873円増加した。
高校生以下の子どもと同居している親(747人)に、子どものこづかいや、携帯電話・スマホの通信・通話料金への支出状況について聞いたところ、子どもの「こづかい」に支出している親の割合を子どもの就学段階別にみると、未就学児の親では16.5%、小学生の親では46.0%、中高生の親では76.5%だった。
子どものこづかいに支出している親(348人)の平均支出金額は、未就学児の親では976円/月、小学生の親では1966円/月、中高生の親では5379円/月だった。
また、子どもの「携帯・スマホの通信・通話料金」に支出している親の割合を就学段階別にみると、未就学児の親では23.8%、小学生の親では36.3%、中高生の親では84.1%。
続いて、高校生以下の子どもの親、または予備校生・浪人生の親(750人)に、子どもの進学費用のための備えとして、1人あたり月々いくらぐらい支出をしているか聞いたところ、「0円」29.1%に最も多くの回答が集まったほか、「1万円~1万4999円」17.2%や「2万円~2万9999円」18.8%、「3万円以上」16.9%に回答が集まり、平均支出金額は1万5690円/月になった。
平均支出金額を過去の調査結果と比較すると、2019年1万7474円→2020年1万5776 円→2021年1万4189円→2022年1万5690円となり、昨年までの2 年連続減少から今年は増加に転じた。
高校生以下の子どもの親(748人)に、大学などへの進学のための教育資金を、どのような方法で準備しているかを聞いたところ、「銀行預金」60.6%と「学資保険」42.1%が突出して多かった。
以下、「財形貯蓄」11.2%、「金融投資(株式投資や先物取引など)」11.0%、「(学資保険以外の)生命保険」8.3%と続いた。
また、大学生などの親(250人)に、大学などへの進学のための教育資金を、どのような方法で準備してきたかを聞いたところ、「銀行預金」71.6%が最も多く、以下、「学資保険」44.4%、「奨学金」20.4%、「財形貯蓄」「教育ローン」「子どもの祖父母(自分の親や義理の親)からの資金援助」(いずれも9.6%)が続いた。
自分の子どもに目指してほしい「理想の大人」のイメージに合う有名人やアニメキャラ、歴史上の人物について聞いたところ、有名人では、1位「大谷翔平」、2位「イチロー」、3位「天海祐希」となった。2015年から2021年まで7年連続で1位だった「イチロー」を抑えて、「大谷翔平」が初の1位になった。
選んだ理由をみると、1 位の「大谷翔平」については、「実直で自分の目的のために真摯に取り組んでいるから」といった回答が挙げられた。2位の「イチロー」については、「自分をしっかり持っていそうだから」、3位の「天海祐希」については、「凛として芯があるから」といった回答が挙げられた。
アニメキャラでは、1位「竈門炭治郎(鬼滅の刃)」、2位「煉獄杏寿郎(鬼滅の刃)」「モンキー・D・ルフィ(ONE PIECE)」「ドラえもん(ドラえもん)」。歴史上の人物では、1位「坂本龍馬」「織田信長」、3位「徳川家康」。
また、自分の子どもに就いてほしい職業を聞いたところ、男子の親では、1位「公務員」、2位「医師」、3位「会社員」、4位「エンジニア」「研究者」。女子の親では、1位「公務員」、2位「医師」と、上位2 位までは男子の親と同じ結果だった。以降、3位「看護師」、4位「会社員」、5位「薬剤師」。
この調査は、大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女を対象に、1月28日~31日の4日間、インターネットで実施した。有効回答数は1000人。
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