Wednesday, March 23, 2022

ウクライナのゼレンスキー大統領、国会演説詳報 - 日本経済新聞

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ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、日本の国会でオンライン演説した。演説の詳報は以下の通り。在日ウクライナ大使館側が同時通訳した。

細田博之衆院議長、山東昭子参院議長、岸田文雄首相、日本の国会議員、日本国民のみなさま。本日は私がウクライナ大統領として直接みなさまにお話しできることを光栄に思う。

日本とウクライナの間には8193キロの距離がある。飛行機では15時間もかかる。ただ、お互いの自由を感じる気持ちの差はない。

日本がすぐ援助の手を差しのべてくれたことに感謝している。ロシアがウクライナの平和を破壊し始めたとき、世の中の本当の要素を見ることができた。

日本はアジアのリーダーになった。戦争の停止のために努力し始めた。日本はウクライナの平和の復活に動き始めた。ウクライナだけではなく世界にとって重要なことだ。

化学兵器、ロシアが準備

1986年にチェルノブイリ原子力発電所事故があった。放射能が放出され(周囲)30キロゾーンは危険で、事故収束当時から多くのがれきや機械、資材が土の中に埋められた。その土の上をロシア軍の装甲車が通り、放射性物質のダストを出した。

核物質の処理場をロシアが戦場に変えた。ウクライナへの攻撃の準備に使っている。戦争が終わってからどれだけの環境被害があったかを調査するのにも何年もかかるだろう。

ウクライナには4カ所の原発に15の原子炉があり、すべて非常に危険な状況にある。ザポリージャ原発も攻撃を受けている。工業施設の多くも被害を受けて環境へのリスクとなっている。

サリンなどの化学兵器を使った攻撃もロシアがいま準備していると報告を受けている。核兵器を使ったときの世界の反応がどうなるかが世界中の話題になっている。

ウクライナ軍は大規模な戦争、攻撃から国を守っている。1000発以上のミサイルが打たれ、空爆され、数十の町が破壊された。多くの町では殺された人を埋葬することもできない。家の庭や道路沿いで埋葬せざるを得ない。

住み慣れた家を出て、隠れるために避難している。ウクライナの北方領土、東方領土などでは人が避難し、人口が減っている。またロシアは海も封鎖して通常の交易路を封鎖している。

国連安保理の改革訴え

ウクライナとそのパートナーだけが世界の安全保障ができる。全ての民族、国民にとって、それぞれの国境、安全を守り、また子どもや孫の将来を守る努力が必要だ。

国際機関が機能してくれなかった。国連も安全保障理事会も機能しなかった。話し合うだけでなく(侵攻停止へ)影響を与えるための改革が必要だ。ロシアによるウクライナ攻撃によって世界が不安定になっている。これからも多くの危機が待っている。

世界市場も不安定で資材の輸入における障害も出ている。またこれからも戦争をしたいという侵略者に非常に強い注意をしなければならない。

平和を壊してはいけないという強いメッセージが必要だ。責任のある国家が一緒になって平和を守るために努力しないといけない。

ウクライナへの本当に具体的な支援に感謝する。アジアで初めてロシアに圧力をかけ始めたのが日本だ。制裁発動の継続をお願いする。

ロシアが平和を望むための努力をしよう。ウクライナへの侵略の津波を止めるために、ロシアとの貿易禁止を導入しなければならない。

ウクライナの人口が減った地域の復興を考えなければならない。避難した人たちがふるさとに戻れるようにしなければならない。日本の皆さんもきっとそういう気持ちがわかると思う。住み慣れたふるさとに戻りたい気持ちだ。

予防的に全世界が安全を保障するために動けるためのツールが必要だ。既存の国際機関が機能できないので新しい予防的なツールをつくらなければならない。本当に侵略を止められるようなツールだ。日本のリーダーシップが大きな役割を果たせる。

ウクライナや世界のため、世界が将来、あすに対して自信を持てるように安定的で平和的なあすが来ると確信できるように。日本国民が一緒になって努力をし、想像以上のことができる。

日本は発展の歴史が著しい。調和をつくり、調和を維持する能力が素晴らしく、環境や文化を守る。ウクライナ人は日本の文化が大好きだ。

2019年に私が大統領になってまもなく、妻オレナが目がよく見えない子どものためのオーディオブックのプロジェクトに参加した。日本の昔話をウクライナ語でオーディオブックにした。

ひとつの例だ。日本の文化はウクライナ人にとって非常に興味深い。距離があろうとも価値観がとても共通している。心は同じように温かい。

ロシアにさらなる圧力をかけることで平和を戻すことができる。ウクライナの復興を行い、国際機関の改革を行うことができるようになる。

将来、日本が今と同じようにウクライナと一緒にいることを期待する。ありがとう。ウクライナに栄光あれ。日本に栄光あれ。

細田博之衆院議長 ウクライナの平和を取り戻すために今後も国際社会と一致結束して協力していく決意だ。生命の危険のあるなかキエフにとどまり、国際社会に支援を訴え、国民を鼓舞し続けるゼレンスキー氏の勇敢な姿勢に改めて敬意を表する。

山東昭子参院議長 罪のない人々が苦しみ、子どもたちさえ標的にする蛮行を目にし、激しい憤りを感じてやまない。日本もロシアの暴挙は絶対に許せないと支援の輪が着実に広がる。一日も早くウクライナの平和と安定を取り戻すため私たち国会議員も全力を尽くす。

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