回転ずし大手「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイト（横浜市）の田辺公己社長（46）が、以前勤めていた競合他社の営業秘密を不正に持ち出したとして、警視庁生活経済課は30日にも、同社長と元部下ら計3人を不正競争防止法違反容疑で逮捕し、法人としての同社を書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材で判明した。
田辺社長は、同業の「はま寿司」の親会社ゼンショーホールディングスから2020年11月、カッパ・クリエイトに顧問として移籍し、21年2月に社長に就任した。ゼンショー時代には、はま寿司の取締役も務めていた。
捜査関係者によると、田辺社長はゼンショーに在籍していた20年10月ごろ、はま寿司で管理されていた仕入れ価格などのデータを持ち出した疑いがある。
移籍前からはま寿司のデータをUSBメモリーなどに移行して持ち出していたとみられる。また、移籍後も元同僚から数回にわたり、はま寿司全店舗の売り上げデータをメールで受け取っていた形跡があるという。
田辺社長は今年5月、毎日新聞の取材に対し、情報を入手していたことを認める一方で、「違法という認識はなく、営業秘密に当たるとも思わなかった。（入手したデータは）そんなに活用できるものではない。参考程度のものだ」と話していた。
一方で、ゼンショーホールディングスの小川賢太郎社長は毎日新聞の取材に「売り上げや仕入れ値の情報は、チェーン店にとって競争対策や出店戦略の基礎となり、重要な機密情報だ」と反論していた。
はま寿司は21年4月に不正競争防止法違反容疑で田辺社長を警視庁に告訴し、警視庁は同6月、カッパ・クリエイト本社を家宅捜索していた。【高井瞳】
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