【シリコンバレー=白石武志】米航空宇宙局（NASA）は3日、同日に予定していた月を探査する「アルテミス計画」の無人宇宙船の打ち上げを再延期すると発表した。ロケットに燃料の液体水素を注入する作業がうまくいかなかった。当初は8月29日の発射を目指していたが、エンジンに不具合が見つかり直前に中止していた。
米フロリダ州のケネディ宇宙センターからの打ち上げを中止した。3日の発射を目指していたが、燃料を注入する際に漏れが生じた。次の打ち上げ機会は5日以降になるとしている。
最大4人乗りの宇宙船「オリオン」を載せる新型ロケット「スペース・ローンチ・システム（SLS）」は今回が初飛行となる。2025年以降の実現を目指す有人月面探査の再開に向けた試験飛行という位置づけだ。
NASAは8月29日にも打ち上げを試みたが、予定時刻の約40分前にカウントダウンを停止した。エンジンを始動させるにはあらかじめ温度を一定範囲に保つ必要があるが、主要部分に取り付けられた4基のうちの1つを十分に冷却できなかったためだと説明している。
NASAはアルテミス計画を3段階に分けている。1号機で無人飛行に成功すれば、24年に宇宙飛行士を乗せた2号機を月の周回軌道に送り込む。3号機では月面着陸を目指す。3号機の打ち上げは25年以降になる見込みで、女性を初めて月面に送り出す。
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