日本学術会議が推薦した会員候補6人が任命されなかった問題で、山極(やまぎわ)寿一・前会長(京都大前総長)当時の会議が、首相官邸に事前の説明や名簿の提示をせずに交代枠と同数の105人の推薦名簿を提出した結果、6人の任命を拒否されていたことがわかった。前回2017年の会員交代の際には、官邸に求められて事前に交代枠を超える名簿を示すなどしていた。複数の会議元幹部が証言し、官邸幹部も認めた。
学術会議の会員は3年に1度、定数210人の半数が10月に交代する。
会員の交代を巡っては、山極氏の前の会長だった大西隆・東大名誉教授が17年秋の会員交代の際に官邸に求められて、選考の最終段階で候補に残る数人を加えた110人超の名簿を杉田和博官房副長官に事前に示し、最終的に会議が希望する105人が安倍晋三首相(当時)に任命されたことが判明している。14年秋の交代期には求められなかったという。大西氏は名簿を示した理由について「会議は政府機関でもある。任命者の求めに応じた説明は必要と考えた」と話す。
大西氏が会長だった当時に欠員が出た際の16年夏の補充人事で、3ポストにそれぞれ2人ずつ示したところ一部について官邸に難色を示され、欠員になった。大西氏は「苦い経験だった」としており、その後の官邸との事前折衝につながったとみられる。
一方、複数の会議元幹部によると、17年10月~今年9月に会長を務めた山極氏は半数交代の際に、官邸への事前説明やポストの数を超える名簿の提示をしなかった。会議は7月9日の総会で105人の推薦候補を決定し、8月末に安倍首相に提出。菅義偉首相は9月末、そのうち6人を任命しないことを決めた。
ポストの数を超える名簿を示さなかったことについて、山極氏はメールで取材に応じ、「それが常識だから」と回答。引き継ぎについても「詳しいことは聞いていない」とした。当時の会議幹部は「山極氏は政府からの求めに対し、いろんな形で交渉していた。筋を通し、学術会議の独立性を示した」と語った。
官邸幹部は学術会議の会員交代について「任命権は首相にある」と話す。17年の交代期には105人超の名簿を示すことを求め、大西氏側もそれに応じたという。一方で、山極氏が会長の時は「官邸は待っていたのに何もなかった」としている。
また山極会長の当時、補充人事…
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