定年退職が近づいてくると、第二の人生について考える機会が自然と増えてきます。やりたいことがたくさんある方にとっては、ライフプランを立てるのが楽しみで仕方がないかもしれません。一方で、「老後の生活にはいくらかかる?」「貯蓄はどれくらい必要?」など、資金面のことが気になって仕方がないという方も多いのではないでしょうか。
老後資金といっても、世帯構成ひとつで金額はがらりと変わってきます。そこで本記事では「安心して暮らすために必要な老後資金」について、さまざまな角度から分析していきます。また、今からでもできる資産形成についてもご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
安心して生活できる老後資金はひとりあたり4,500万円
老後資金とは定年後に必要な資金全般のことを言いますが、具体的にはどの程度なのでしょうか。計算は簡単で、定年後の生存期間と毎月必要になる生活費を掛け算すれば、目安となる金額がわかります。
現在の定年年齢は「60~65歳」ですが、65歳までは希望者に対する雇用継続が義務付けられています。また、65歳に達した人の平均生存年数を表す「65歳平均余命」は男性が約20年、女性が約25年です。
生活費の方はどうでしょうか。総務省が公表している2021年版の家計調査年報(家計収支編)によると、65歳以上の単身無職世帯の支出は毎月約14万5千円で、夫婦になると約25万5千円です。1人あたりの生活費を月15万円とした場合、1年で180万円かかります。それが25年になると4,500万円になります。
4,500万円全額を退職金や公的年金で補っていくには、少々心もとないという方も少なくないでしょう。それゆえ、老後資金を計画的に積み増していく必要があるのです。
老後生活費の内訳と平均額
老後の25年で4,500万円という数字だけでは、具体的な生活をイメージできないかもしれません。それでは、老後の生活費について項目別にチェックしていきましょう。
ご紹介している数字は2021年版の家計調査年報(家計収支編)の中で公表されているもので、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)と65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の毎月の平均額です。
食料
消費支出の3割程度を占め、すべての項目の中で最多となっているのが食料に関する費用です。単身で36,322円、夫婦の場合は65,789円になります。1日あたり1,100~1,200円といったところでしょうか。
単身の男性の場合、どうしても外食費が多くなりがちです。それでも、仕事関係での飲食が多かった定年前に比べれば減少する傾向にあります。
住居
住居費は単身が13,090円、夫婦で16,498円です。平均額にすると少ない金額になりますが、持ち家か賃貸かによって大きく異なります。お住いの地域によってもかなり変動するので、平均金額は参考程度に考えておいたほうがよいでしょう。
光熱・水道
単身で12,610円、夫婦で19,496円を要するのが光熱・水道費です。単身の場合、日中は留守にしていた定年前に比べると、定年後の光熱・水道費はどうしても増えてしまいます。一方、妻が専業主婦だった家庭は夫が定年して在宅時間が増えても、変動が少ないのが特徴です。
家事用品・衣服
家事用品には冷暖房器具や家具全般も含まれます。家事用品と衣服の合計は単身で5,077円、夫婦では10,434円になっています。スーツ代などが不要になることもあり、この項目は65歳未満に比べて少なくなります。
保険医療
年齢を重ねると気になるのが保険医療費の増加です。単身で8,429円、夫婦では16,163円ですが、高齢者世帯になって急激に増えた印象は少ないかもしれません。70歳になると窓口での自己負担割合が2割、75歳以上は1割となる影響も大きいと考えられます。ただし、2022年10月から75歳以上でも一定以上所得のある方は2割負担となるため、世帯によっては医療費が増加することも考えられます。
教養・娯楽
ここまでの項目と比べると、個人差が大きくなるのが教養・娯楽に関する費用ではないでしょうか。単身で12,609円、夫婦で19,239円となっていますが、あくまでも平均額です。ご自身のライフプランや資金状況によって、しっかりと見極める必要があります。定年直後の使い過ぎには特に注意しましょう。
生活費以外で必要になる2つの資金
生活費については、以上の項目を中心に1人あたり月15万円程度を確保できれば安心ですが、それ以外に用意しておいた方がいいのが「入院・手術費」「介護費」の2つです。
健康に関する不安は年々高まっていきます。生活費のなかには医療費も含まれていますが、それはあくまで平均値です。入院・手術や介護による突然の出費については備えておく必要があるでしょう。
入院・手術
厚生労働省の調査などによると、入院1日あたりの自己負担額は、平均的な医療費の場合で 5,661円です。これに食事代1,380円を加えると、7041円になります。入院日数の平均は65歳以上で37.6日です。つまり、一度の入院で26万円以上の費用が必要というわけです。
1か月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、自己負担限度額を超えた分が後日払い戻される「高額医療費制度」はありますが、相当な負担になることには間違いありません。加入している生命保険の入院保障の内容について、しっかり確認しておくことをおすすめします。
介護
介護費用は介護が必要になった年齢と所得、認定レベルにより異なります。生命保険文化センターの調査によると、介護期間の平均は54.5ヵ月、費用が毎月平均78,000円なので約425万円になります。それに加えて住居のリフォームなどの一時費用が平均69万円、合計すると約500万円です。
利用するサービス内容や要介護度によって自己負担額は変わりますが、介護には相当な費用がかかることは意識しておいた方がよいでしょう。
【世帯別】必要な貯蓄額目安をシミュレーションで解説
必要な費用が出そろったところで、それに対する備えについてもシミュレーションしていきましょう。
65歳以降の収入の柱となるのが公的年金です。老後の期間を25年とした場合に必要になる資金は1人当たり4,500万円です。4,500万円という目標額と、25年間で受給できる年金の総額が必要な貯蓄の総額になります。それを月単位で計算すれば、毎月の貯蓄目標が求められます。
単身と夫婦では年金の受給額が異なりますので、世帯別の貯蓄目標額をはじき出してみましょう。計算には、2021年版の家計調査年報(家計収支編)のデータを使用します。
単身
高齢単身無職世帯の平均収入は135,345円で、25年間の収入総額は約4,060万円となります。しかし、目標額の4,500万円には440万円足りません。これを月単位にすると約15,000円となります。
年金以外に毎月15,000円ずつ貯蓄することができれば、ひとまずは安心というわけです。
夫婦
65歳以上の夫婦のみの無職世帯の収入は 236,576円で、25年間の総額は約7,100万円です。2人分の9,000万円には1,900万円も不足しています。つまり、毎月63,000円程度の貯蓄が必要になるということです。
「老後2,000万円問題」という言葉が大きな話題となったことがありましたが、ここでもそれに近い実情が浮かび上がっています。とはいえ、この計算には65歳になった時点で保有している資産については計算されていません。ある程度まとまった資産がある方なら、それを運用することによって必要な貯蓄額を捻出することも可能となるでしょう。
老後資金の準備方法4選
老後資金を増やしていくためには、どのような方法が効果的でしょうか。積み立て感覚で保障もある「貯蓄型保険」、少額でもチャレンジできる「資産運用」。そしてマネープランや支出の見直しも含めた4つの方法について見ていきましょう。
貯蓄型保険
貯蓄型の保険商品は、保険料が積み立てられるため満期時には満期保険金となって戻ってきます。お子さまが生まれた時に、貯蓄型の学資保険に入ったという方も多いのではないでしょうか。
貯蓄型といっても保険なので、死亡保険金や入院給付などの保障面もカバーできます。商品や契約内容にもよりますが、払込期間中に解約した場合でも相当額の返戻金が受け取れるものが大半です。
介護が必要な状態になった場合に、一時金を受け取ることができるタイプの商品もあります。介護状態にならなかった場合でも、解約して払戻金を受け取ることができるので「掛け捨て」のロスを考えずに済むのも貯蓄型保険のメリットといえるでしょう。
資産運用
自分が持っている資産を運用する場合、確実に増やす預貯金と大きく増やす投資にわかれます。
元本が保証されないことから、投資には消極的な方も少なくないかもしれませんが、毎月一定額の投資であればリスクを恐れるほどではありません。少しずつの投資だからこそ、積極的に運用してみるのもよいでしょう。
マネープランの見直し
マネープランとは、想定される収入と支出から、お金に関する見通しを立てることです。老後のマネープランを検討する際に、大切な要素が2つあります。
まずは、子供に関する出費がいつまで続くのかということです。定年以降も教育費がかかる場合は老後資金を切り崩す必要がありますし、結婚費用を支援するケースも考えられます。
次に住宅ローン完済の見通しです。月々の返済が老後の生活を圧迫しないためにも、金利や残高を見極めながら、早めの完済を目指してマネープランを見直してみましょう。
支出の見直し
収入は変わらないけど、少しずつでもいいから貯蓄は増やしたい。そんな場合は、家計の見直しによって支出を減らすことから始めてみましょう。家計簿によって収支を可視化してみると、削減できそうな支出項目が浮かび上がってくるかもしれません。
家計の支出は大きく分けて「固定費」と「変動費」の2つです。先ほどご紹介した生活費の各項目を見ると、住居や光熱・水道が固定費、食料や教養・娯楽が変動費になります。変動費のほうが減らせる幅は大きいですが、固定費を一度見直してしまえば、削減効果を長期間にわたって受けられます。
まとめ
今回は、安心して生活できる老後資金についてご紹介しました。年金の受給額や保有資産には大きな個人差があります。それゆえ、必要な老後資金は千差万別といえますが、4,500万円という数字はひとつの目安にはなるでしょう。
目標とする老後資金を積み重ねていくうえで、「入院・手術」「介護」の費用については注意しておきましょう。というのも、老後生活の期間が長くなればなるほど、この2つの資金が必要となる可能性は大きくなっていくからです。
多額の資金ですから、資産運用や保険の見直しといった対策は長期的には必要となるでしょう。しかし、支出の見直しなど「すぐに取り組める対策」もあります。今まで当たり前だった費用を削ると、金額以上の心理的効果を生み出すこともあります。4,500万円への一歩は、身近なところから始めてみてはいかがでしょうか。
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October 14, 2022 at 02:48PM
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