2022.10.11 0:00
骨粗しょう症の人は治療のためにビタミンD製剤を服用することがある。ただ健康な中高年では、必要以上のビタミンDをサプリメントで摂取しても、将来の骨折リスクを減らすのにあまり役に立ちそうにないとする疫学研究の結果を、米ハーバード大やブリガム・アンド・ウィメンズ病院のチームがまとめた。
ビタミンDのサプリメント(AP=共同)
ビタミンDは骨や歯の正常な発育に不可欠な栄養素。通常は日光を浴びることで皮膚で合成されるほか、キノコや魚介類、卵などの食品を通じて必要な量が得られる。不足すると腸や腎臓からのカルシウム吸収が低下し、骨が軟らかくなったり弱くなったりすることがある。
チームは、米国に住む50歳以上の健康な男女約2万6千人を2グループに分けて調査。高容量のビタミンDを含むサプリと、見た目がそっくりな偽物を毎日飲んでもらって平均で5年間追跡した。その間、手足や腰などの骨折が1500人以上に起きたが、本物と偽物サプリのどちらを飲んでいたかで発生リスクに大きな差はみられなかった。
同じグループで心臓病やがんの発症を比べた研究でも、ビタミンDサプリによる予防効果はほとんどみられないとの結果が出ている。
チームの研究者は「量が多いからといって良い効果が期待できるわけではなさそうだ」と指摘。一方で「この結果はあくまでも健康な中高年が対象。骨粗しょう症やビタミンD不足の人などに当てはまるわけではない」と説明している。
研究は米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表した。
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October 10, 2022 at 10:00PM
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