Monday, March 20, 2023

3000万円で買った家はいくらで売れる? 築20年でも建物価値はゼロ ... - ダイヤモンド不動産研究所

「3000万円で買った家はいくらで売れるのか?」築20年程度で約2100万円など統計データから推測される建物の売却金額は算出されていますが、実際には売却時に土地価格が変動するため、もっと高く売れるときもあれば、安くなってしまうこともあります。では、実際には3000万円で購入した家は一体いくらで売れるのでしょうか?さまざまなデータを用いながら解説していきましょう。

3000万円で買った家はいくらで売れる?

 3000万円で買った家はいくらで売れるのでしょうか? まずは、3000万円で買った家について、「理論上」の価格と「統計上」の価格の2つの側面からいくらになるかを解説します。

計算から求める築年数別価格の目安

 中古住宅の査定価格は、計算式を用いて理論上の価格を求めることもあります。

 戸建ての査定価格は、土地価格と建物価格の合計額となります。土地価格は更地の取引事例から求め、建物価格は新築価格から減価修正を行って求めることが一般的です。このような戸建ての価格の求め方を「原価法」と呼んでいます。

 原価法では、建物価格は築年数に応じて下落するという考え方を採用しています。ほとんど参考にはなりませんが、旧来存在した建物価格の下落イメージを図示すると図表1の通りです。

図表1 中古住宅の築年数と建物価格の下落率の推移

グラフ:中古住宅流通、リフォーム市場の現状

 インターネット上では、上図を用いて3000万円の戸建ての価格がいくらになるかを解説している記事をよく見かけます。

 出典元の国土交通省の資料に「戸建住宅の場合、築後20年で価格はほぼゼロに」というコメントが記載されていることから、築20年で建物価格はゼロ円になると記載している記事も多いです。

 確かに、今から20年くらい前(西暦2000年前後あたり)までは、木造住宅は築20年で価格をゼロ円と査定するという考え方は存在していました。

 しかしながら、現在では築20年で建物価格をゼロ円とするような乱暴な査定はほぼありません

 現在では建築技術が向上しており、築20年で建物価格がゼロ円とするのは実態にそぐわないと批判も多かったため、近年は「経済的残存耐用年数」が長期化しています。経済的残存耐用年数とは、建物の市場価格がゼロ円に達するまでの期間のことです。

 公益財団法人不動産流通推進センター(図表1の旧(財)不動産流通近代化センターのこと)では、戸建て住宅の価格査定マニュアルにおいて、標準的な戸建ての経済的残存耐用年数を「30年」としています。標準的な戸建てとは、長期優良住宅のようなハイスペックではない一般的な住宅のことです。

 長期優良住宅(国の認定基準をクリアした長期間使える優良な住宅のこと)になると、経済的残存耐用年数は100年としています。

 また、不動産鑑定士が行う不動産鑑定でも、昨今の戸建ての経済的残存耐用年数は「35年」程度としていることが多いです。

 よって、近年の戸建ての査定では、建物価格は「築30~35年」程度でゼロ円に達するという考え方が主流となっています。

 仮に経済的残存耐用年数を「30年」とした場合、中古戸建ての価格は以下の式で計算されます。

中古戸建ての価格 = 土地価格 + 新築価格 × (1 - 経過年数 ÷ 30年)

 ここで、上記の計算式により、3000万円(土地価格:1200万円、建物価格:1800万円)で買った家の価格を示すと図表2の通りです。なお、土地価格は一定であると仮定します。

図表2 3000万円で買った家の築年数ごとの下落率

築年数 土地価格 建物価格 戸建て価格 下落率
新築時 1200万円 1800万円 3000万円 0.0%
10年目 1200万円 1200万円 2400万円 ▲20.0%
20年目 1200万円 600万円 1800万円 ▲40.0%
30年目 1200万円 0万円 1200万円 ▲60.0%
40年目 1200万円 0万円 1200万円 ▲60.0%

 ただし、上記の価格はあくまでも理論値です。「経済的残存耐用年数」や「土地価格と建物価格の内訳」が異なれば結果も違ってきます。

実際の数値で見る築年数別価格の目安

 実際のところ、3000万円で購入した家は築年数の経過によってどの程度下がっているのかを見ていきましょう。

 最初に、3000万円の家はどの辺に存在するのかを確認します。首都圏における過去5年間の新築建売住宅の価格は図表3の通りです。

図表3 首都圏の年度別新築建売住宅の価格

年度 東京23区 神奈川県 埼玉県 千葉県
2017年度 4906万円 3631万円 2854万円 2805万円
2018年度 4984万円 3565万円 2909万円 2854万円
2019年度 5117万円 3538万円 2960万円 2797万円
2020年度 5138万円 3604万円 2983万円 2934万円
2021年度 5898万円 3924万円 3326万円 3247万円
5年平均 5209万円 3652万円 3006万円 2927万円

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ2021年・年度 表4戸建住宅(新築)

 直近5年間の平均価格を見ると、東京23区は「5209万円」、神奈川県は「3652万円」、埼玉県は「3006万円」、千葉県は「2927万円」でした。よって、3000万円の家は埼玉県(あるいは千葉県)に多く存在することが分かります。

 次に、東京23区と埼玉県の築年数別における価格の下落率(新築から5年目までを100%とした場合)を示します(図表4)。

図表4 東京23区と埼玉県の築年数別の価格の下落率

出典:公益財団法人近畿圏不動産流通機構「2021年度年刊市況レポート 表13中古戸建
地域 土地価格 ~築5年 築6~10年 築11~15年 築16~20年 築21~25年 築26~30年 築31年~
東京23区 価格(万円) 6625 6057 6634 6275 5765 6073 4610
建物面積(平米) 91.48 92.96 101.29 103.05 106.75 123.50 94.75
建物単価(万円/平米) 72.42 65.16 65.50 60.89 54.00 49.17 48.65
下落率(%) 0.0% ▲10.0% ▲9.6% ▲15.9% ▲25.4% ▲32.1% ▲32.8%
埼玉県 価格(万円) 3448 3157 2703 2561 2360 1788 1407
建物面積(平米) 101.10 103.05 104.15 107.50 112.16 111.50 95.57
建物単価(万円/平米) 34.10 30.64 25.95 23.82 21.04 16.04 14.72
下落率(%) 0.0% ▲10.2% ▲23.9% ▲30.1% ▲38.3% ▲53.0% ▲56.8%

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ2021年・年度 表16戸建住宅(中古)

 東京23区と埼玉県で下落率が異なるのは、新築当時の土地価格と建物価格の割合が異なるからです。建築費は全国ほぼ同じですが、土地価格は地域によって異なります。

 東京23区は埼玉県と比べると土地価格が高いため、総額に占める土地価格の「割合」も高いです。逆に言うと、東京23区の物件は建物価格の「割合」が低いということになります。

 築年数の経過によって家の価格が下がる原因は、建物価格が下がるからでした。東京23区は埼玉県よりも建物価格の割合が低いため、価格の下落率も埼玉県より低くなります。

 つまり、家の価格の下落率は地域によって異なるということです。

 3000万円で買える家は埼玉県に多く存在することから、下落率は埼玉県のものを用いることが適切といえます。

 埼玉県の価格の下落率を用いて3000万円の家の築年数別の価格を計算すると図表5の通りです。

図表5 築年数ごとの3000万円の家の売却価格の目安

築年数 価格 下落率
~築5年 3000万円 0.0%
築6~10年 2695万円 ▲10.2%
築11~15年 2283万円 ▲23.9%
築16~20年 2096万円 ▲30.1%
築21~25年 1851万円 ▲38.3%
築26~30年 1411万円 ▲53.0%
築31年~ 1295万円 ▲56.8%

 新築価格が3000万円に近い埼玉県の統計データを用いると、3000万円で買った家はおおむね以下の価格で売れるものと推測されます。

3000万円で買った家の売却価格予測
・築10年程度 約2700万円(下落率約10%)
・築20年程度 約2100万円(下落率約30%)
・築30年程度 約1400万円(下落率約53%)

 なお、「築26~30年」の下落率(▲53.0%)と「築31年~」の下落率(▲56.8%)を比較すると、ほぼ同じであることがわかります。

 これは実際の市場でも築30年程度で建物価格がほぼゼロ円となっており、その後は土地価格のみとなって価格が下げ止まっていることが理由です。

 建物価格が築20年でゼロ円となることはなく、30年程度かけてようやくゼロ円となっています。

3000万円で買った家の価格が簡単にわからない理由

 3000万円で買った家がいくらで売れるかは、実は下落率だけから簡単にわかるわけではありません。

 いくらで売れるか簡単にわからない理由は、土地価格が変動するためです。図表6に首都圏における過去10年間の戸建てと土地の価格の推移を示します。

図表6 首都圏の戸建てと土地の価格推移

図表6 首都圏の戸建てと土地の価格推移

 戸建て価格は過去10年間において総じて上昇傾向にあります。戸建て価格が上昇している理由は、土地価格が上昇しているためです。

 戸建て住宅は、建物価格については購入時から築年数の経過に応じて下落します。一方で、土地価格については購入時から上昇する場合もありますし、下落する場合もあります。

 戸建ての価格は買ったときから「建物価格の下落」と「土地価格の上下変動」の合計で決まることから、単純に築年数だけでいくらになるかはわからないのです。

 土地価格の上下変動を加味すると、例えば3000万円の家が築10年目で2900万円くらいに留まることもありますし、逆に2500万円くらいまで下がってしまうこともあります。

 統計データから割り出した築10年目で約10%の下落率というのは常に当てはまるわけではなく、土地価格の上下変動によって変わってしまうのです。

3000万円で買った家がいくらで売れるかを知る方法

 3000万円で買った家がいくらで売れるかを知るには、最終的には不動産会社による査定が必要です。不動産会社は、「建物価格の下落」だけでなく「土地価格の上下変動」も加味した上で価格を決定します。

 査定には、大きく分けて「訪問査定」と「机上査定(簡易査定)」の2種類があります。

 訪問査定とは、不動産会社が現地を実際に見て行う査定です。机上査定とは、不動産会社が現地を見ずに行う査定となります。

 価格の精度に関しては、訪問査定の方が高いため、売却することが既に決まっている場合には訪問査定がおすすめです。

 一方で、売却するかどうかはまだ決まっておらず、とりあえず概算の価格を知りたいというレベルであれば机上査定でも十分といえます。

査定を依頼するときの注意点

 査定を依頼するときの注意点は、以下の2点です。

・複数の不動産会社に査定を依頼する
・建物の価値がわかる資料を用意する

 それぞれ解説しましょう。

複数の不動産会社に査定を依頼する

 1つ目は、査定は複数の不動産会社に依頼することです。査定はあくまでも不動産会社の予想に過ぎないため、売却を保証する絶対的な価格ではありません。

 実績も豊富で多くの見込み顧客を抱えている不動産会社であれば、高く査定してくれる可能性もあります。

 査定結果は不動産会社によって異なることが通常であることから、高く売ってくれる不動産会社を探すためにも、査定は複数の不動産会社に依頼することが望ましいのです。

 不動産一括査定サイトを利用すると、簡単に複数の不動産会社に依頼することができて便利です

建物の価値が分かる資料を用意する

 2つ目は、査定時は建物の価値が分かる資料を用意するという点です。例えば、「住宅性能評価書」や「リフォームを実施した資料」などが挙げられます。住宅性能評価書とは、第三者の評価機関が住宅性能を評価した書面のことです。

 建物価値が高いことを証明できる客観的な資料が整っていれば、築年数による建物価格の下落が少なくなり、結果的に査定価格を上げることができます。

まとめ

 以上、「3000万で買った家はいくらで売れるのか?」について解説してきました。統計データを用いると3000万円で買った家は以下のようなイメージの価格で売れるものと推測されます。

3000万円で買った家の売却価格予測
・築10年程度 約2700万円(下落率約10%)
・築20年程度 約2100万円(下落率約30%)
・築30年程度 約1400万円(下落率約53%)

 しかし、実際の売却価格は土地価格が変動することから簡単には分かりません。売却前に適切な価格を把握するには査定が必要です。

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