兵庫県警機動隊の巡査だった木戸大地さん(当時24歳)が自殺したのは、先輩らのパワーハラスメントなどが原因だったとして、両親が県に約8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁は22日、一部の行為をパワハラと認定し、県に慰謝料100万円の支払いを命じた。パワハラと自殺との因果関係は認めなかった。両親は控訴する方針。
判決によると、木戸さんは2012年9月から機動隊に所属していたが、隊の先輩から14年3月以降、月2、3回の頻度で大声で
県側は「ミスの改善に業務上必要な指導でパワハラではない」と主張したが、久保井恵子裁判長は判決で、「大声でどなることが常に必要だったとは言えず、態様は暴言や嫌がらせと評価される不適切なものだ」と指摘。「指導の域を超え、社会通念上相当性を欠いたパワハラ行為だ」と違法性を認めた。一方で、「叱責は長時間続けておらず、自殺に追い込むほどの精神的負荷を与えるものではなかった」として自殺との因果関係は否定した。
県警は「判決内容を検討し、今後の対応を決めたい」とコメントした。
「怒りを通り越して失望した」。判決後に神戸市内で記者会見した木戸さんの父、一仁さん(73)は、パワハラと自殺の因果関係が認められなかったことに憤り、涙を流した。
判決では先輩のパワハラは認められた。一仁さんは「違法行為を放置した県警の責任は重い」と語気を強め、「大地の死を無駄にしないため、県警の体質が変わるよう控訴審でも訴えていきたい」と話した。
県警機動隊では木戸さんが自殺する1か月前の15年9月にも別の隊員が自殺。県警は直後にプロジェクトチームを発足させ、隊員の指導法などを学ぶため外部講師を招くなどの対策を続けている。ある県警幹部は判決を受け、「厳しい指導が当たり前だった昔の常識は通用せず、意識改革に終わりはない」と語った。
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