岸田文雄首相の15日の記者会見の要旨は次の通り。
【冒頭発言】
何十年に一度の歴史を画するような危機的事態が同時に起こるなか、日々決断と実行の連続だった。新型コロナウイルス対応は緊急事態宣言を回避しながら、感染拡大防止と経済活動の維持の両立ができた。
一日も早く「日常」取り戻す
しかしまだ気を緩めることはできない。「平時への移行の道を慎重に歩んでいく」という基本方針を堅持しつつ、一日も早く「日常」を取り戻せるよう努力を続ける。
世界の平和秩序を踏みにじるロシアによるウクライナ侵略は決して許してはならない。
再来週の主要7カ国(G7)エルマウ・サミット、さらに日本の首相として初めて北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席する。力による一方的な現状変更は世界のどこであれ認められないと訴える。
防衛力の抜本的強化を含め日米同盟を新たな高みに引き上げながら、「自由で開かれたインド太平洋」を志を同じくする国々とつくっていく。
地域の平和と安定を守るため中国に主張すべきは主張し、責任ある行動を求める。同時に諸懸案を含め対話を重ね、共通の課題については協力していく。
通常国会で重要法案が成立した。少子化対策は喫緊の課題で私の判断で出産育児一時金を大幅に増額する。来年4月のこども家庭庁発足を待つことなくただちに設立準備室を立ち上げ、300人体制でこども政策の充実に取り組む。
省エネ・節電措置、近く公表
ロシアによるウクライナ侵略が世界各国で国民の懐を直撃している。ロシアによる価格高騰、「有事の価格高騰」だ。侵略後のガソリン価格の値上がり幅でみると、日本は欧米各国に比べ半分程度の水準にとどまる。
電気料金の上昇を抑制し、需給の安定を確保する対策が必要だ。再生可能エネルギーの徹底的な拡大と安全を確認し、地元理解を得た原発の再稼働を進めていく。
スピーディーに大きな効果を持つのは省エネと節電の徹底だ。そのための措置を早急に公表できるよう準備を進める。
輸入小麦の国際価格が2~3割上昇している。10月以降も輸入価格が突出して急騰している状態ならば必要な措置を講じ、パンや麺類などの価格高騰を抑制する。
秋に向けて肥料の原料価格高騰が多くの農産物価格のさらなる上昇に影響を与える恐れがある。様々な農産物について生産コストを最大1割程度引き下げ、価格上昇を抑制する。
物価や賃金、対策本部を新設
物価・景気両面について最大限の警戒感を持って対応する。政府に「物価・賃金・生活総合対策本部」を立ち上げる。最低賃金も早急に1000円まで引き上げる方針で環境整備に努める。
新しい資本主義を実現するため、企業に眠る320兆円の現預金、個人の保有する1100兆円近い現預金をしっかりと投資に回していくことが必要だ。
人への投資は賃金の引き上げに政策を総動員し分配を強化するとともに、3年間で4000億円の施策パッケージを含め教育訓練投資を充実するよう進める。少額投資非課税制度(NISA)、個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)改革などの「資産所得倍増」は2022年末に総合的な「資産所得倍増プラン」を策定する。
今後10年間で150兆円のグリーントランスフォーメーション投資を実現するため、夏以降に「GX実行会議」を設置し、規制と支援を一体的に行うことで投資を促進する方策などを具体化していく。
感染状況の改善が確認できれば7月前半から、地域観光をより一層強力に支援するため、地域観光事業支援(県民割)について全国を対象とした観光需要喚起策を実施する。
感染症危機への備えを強化する。国・地方が医療資源の確保などにより強い権限を持てるよう法改正する。医療体制は医療機関とあらかじめ協定を締結する仕組みなど法的根拠を与えることでさらに強化する。
内閣官房に新たに「内閣感染症危機管理庁」を設置し、企画立案・総合調整の機能を強化し一体化する。厚生労働省における平時からの感染症対応能力も強化する。各局にまたがる感染症対応・危機管理課室を統合して「感染症対策部」を新設する。
科学的知見の基盤となる専門家組織も一元化する。国立感染症研究所と国際医療研究センターを統合し、厚労省の下にいわゆる日本版CDCを創設する。平時から感染症対策部と日本版CDC、関係自治体が一体的な連携関係を築く。
【質疑】
――参院選を何選挙と名付けますか。勝敗ラインはどう考えますか。
歴史を画する課題に日本がどう挑戦するか、国民に判断いただく選挙だ。ネーミングはいま一度考えたい。勝敗ラインは非改選の議員も含めて与党で過半数だ。
――防衛費増額など財源はどうしますか。
防衛費は厳しい安全保障環境の中、国民の命や暮らしを守る��ために何が必要なのかをまず議論する。そのためにはどれだけの予算が必要か。予算規模によって財源のあり方は変わってくる。
憲法改正、参院選でしっかり掲げる
――参院選で憲法改正を争点にしますか。
自民党は近年、国政選挙で憲法改正を公約の重点項目の柱の一つに掲げてきた。今回の選挙でも選挙公約の重点項目の一つとして憲法改正をしっかりと掲げる。
――日銀の金融緩和政策を修正する必要はあると考えていますか。
日銀が引き続き物価安定目標を持続的、安定的に維持するため努力を続けてもらうことを、政府として期待している。
――台湾問題について中国にどう対応しますか。
台湾海峡の平和と安定の重要性について引き続き中国にも直接伝える。同盟国、同志国と緊密に連携しながら両岸関係を注視したい。
――(18歳の女子学生と飲酒したなどと週刊誌が報じて自民党を離党した)吉川赳衆院議員はまだ説明していません。
一刻も早く国民への説明責任を果たすべきだ。果たせないなら議員としての進退に直結する問題だ。
――NATO首脳会議の場で日韓首脳会談の予定はありますか。
何も決まっていないというのが現在の状況だ。日�韓関係を健全な関係に戻すべく、日本の一貫した立場に基づいて意思疎通を図っていくことは重要だ。
からの記事と詳細 ( 岸田首相の記者会見要旨 - 日本経済新聞 )
https://ift.tt/H5NLeYp
日本
0 Comments:
Post a Comment