デイサービスでかかる費用には、介護保険が適用になるものと適用外のものがあります。また、利用時間や施設の規模によっても異なります。
この記事では、デイサービスでかかる費用の目安や、デイサービスの費用が負担になってしまったときに利用できる軽減制度などについて解説します。
デイサービスとは、介護を必要とする人が日帰りで利用できる介護保険サービスです。体が不自由で自宅にこもりがちな高齢者の心身機能の維持・向上、孤独感の解消、家族の介護負担の軽減などを目的としています。
デイサービスでは食事の提供や入浴をはじめ、レクリエーション、機能訓練、口腔機能の向上を目指したサービスなどを受けられます。
自宅と施設間の送迎サービスも行われているため、自力での通所が困難な方でも利用が可能です。
なお、デイサービスを利用できるのは要介護1~5の認定を受けた方です。要支援1・2の方は対象外となります。
デイサービスの特徴を詳しく知りたい方はこちら
介護保険サービスの自己負担割合は1割の人がほとんどだけど、所得によっては2・3割の人もいるっポ。
デイサービスの費用は、利用するサービスや利用時間、施設の規模によって異なります。自己負担1割の場合は、1回1,000~2,000円程度が目安です。
デイサービスでかかる費用の内訳は下記の通りです。
介護保険適応
サービス利用料 |
400~1,200円程度 |
サービス加算 |
~200円程度 |
介護保険適応外
食費 |
500~1,000円程度 |
その他実費 |
施設で購入したおむつ、レクリエーション材料費など |
デイサービスの費用には介護保険が適用になるものと、適用外のものがあります。介護サービス費は適応となりますが、食費やおむつなどは介護保険適用外となり全額自己負担です。
介護サービス費と、保険適用外の食費やその他の実費の合算が月々の請求額となります。食費やその他実費は、利用していなければ請求されることはありません。
デイサービスの介護サービス費を料金表つきで解説するっポ。
デイサービスで提供されるサービスには介護保険が適用されるため、1~3割の自己負担で利用できます。
具体的には「サービス利用料」と「サービス加算」が介護保険の適用です。それぞれについて詳しくみていきましょう。
サービス利用料
サービス利用料は、デイサービスで受ける介護や日常生活支援などにかかる料金です。
要介護度や利用時間、施設の規模によって費用は異なります。通常規模型のデイサービスでかかる費用は下記の通りです。
通常規模型通所介護費
|
要介護1 |
要介護2 |
要介護3 |
要介護4 |
要介護5 |
3~4時間未満 |
370円 |
423円 |
479円 |
533円 |
588円 |
4~5時間未満 |
388円 |
444円 |
502円 |
560円 |
617円 |
5~6時間未満 |
570円 |
673円 |
777円 |
880円 |
984円 |
6~7時間未満 |
584円 |
689円 |
796円 |
901円 |
1,008円 |
7~8時間未満 |
658円 |
777円 |
900円 |
1,023円 |
1,148円 |
8~9時間未満 |
669円 |
791円 |
915円 |
1,041円 |
1,168円 |
※1単位10円、自己負担1割の場合
出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」
サービス利用料は施設の規模で異なり、上記の「通常規模型」のほかに「大規模型Ⅰ」と「大規模型Ⅱ」があります。
平均利用延べ人員が増えるごとに費用は安くなるため、施設の規模が大きく、利用者数が多いほどサービス利用料は安くなります。
たとえば要介護1の場合、施設規模ごとのサービス利用料は下記の通りです。
要介護1で比較
施設規模
(平均利用延べ人員/月) |
7~8時間未満 |
通常規模型
(301~750人) |
658円 |
大規模型Ⅰ
(751~900人) |
629円 |
大規模型Ⅱ
(900人超) |
607円 |
※1単位10円、自己負担1割の場合
ほかにも、事業所と同じ地域に住む人しか利用できない地域密着型デイサービスがあります。定員は18人以下と小規模で、アットホームな雰囲気が魅力です。
しかし、規模が小さく利用者数が少ないため、通常規模型のデイサービスより費用は高くなります。
地域密着型通所介護費
|
要介護1 |
要介護2 |
要介護3 |
要介護4 |
要介護5 |
3~4時間未満 |
416円 |
478円 |
540円 |
600円 |
663円 |
4~5時間未満 |
436円 |
501円 |
566円 |
629円 |
695円 |
5~6時間未満 |
657円 |
776円 |
896円 |
1,013円 |
1,134円 |
6~7時間未満 |
678円 |
801円 |
925円 |
1,049円 |
1,172円 |
7~8時間未満 |
753円 |
890円 |
1,032円 |
1,172円 |
1,312円 |
8~9時間未満 |
783円 |
925円 |
1,072円 |
1,220円 |
1,365円 |
※1単位10円、自己負担1割の場合
出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」
サービス加算
サービス加算は、サービスや職員の人員配置が特定の条件を満たしたときに算定されます。
入浴介助などのサービスを利用すると加算されるものや、施設の人員やサービス提供体制により加算されるものなどがあります。サービス加算のほとんどは、質の高い介護サービスを提供するために必要な加算です。
また、加算されるサービスがある一方で、減算されるものもあります。たとえば、送迎をしない場合は片道につき約47円の減算、介護・看護職員が基準以下だと所定の単位の70%に減算などです。
デイサービスの主なサービス加算は下記の通りです。
サービス提供体制強化加算
6~22円/回
介護福祉士の割合を増やすなど、質の高いサービスを提供する事業所に対する加算
生活機能向上連携加算
100~200円/月
医師やリハビリ専門職が助言し、利用者のアセスメント・個別機能訓練計画等の作成などを実施したことに対する加算
個別機能訓練加算
56~76円/日 もしくは 20円/月
機能訓練指導員を配置し、身体機能・生活機能の向上を目的とした適切な機能訓練などを実施したことに対する加算
ADL維持等加算
3~60円/月
利用者のADL(日常生活動作)の維持・改善を評価する加算
中重度者ケア体制加算
45円/日
看護・介護職員の配置数を増やすなど、中重度者の受け入れ体制を整えている事業所に対する加算
認知症加算
60円/日
看護・介護職員の配置数を増やし、認知症介護の研修修了者を配置するなどの体制を整えている事業所に対する加算
栄養アセスメント加算
50円/月
管理栄養士を配置し、利用者ごとへの栄養アセスメントなどを実施したことに対する加算
栄養改善加算
200円/回
管理栄養士を配置し、栄養ケア計画に沿ったサービスなどを実施したこと対する加算
口腔・栄養スクリーニング加算
5~20円/回
利用者の口腔や栄養状態のスクリーニングなどを実施したことに対する加算
口腔機能向上加算
150~160円/回
口腔機能の向上を目的とした計画書の作成・サービスなどを実施したことに対する加算
科学的介護推進体制加算
40円/月
科学的介護を推進するため、厚生労働省に必要な情報を提供した事業所に対する加算
入浴介助加算
40~55円/日
適切な入浴介助を実施したことに対する加算
※自己負担1割の場合
出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」
介護保険が適応されない費用も把握しておきたいっポ…。
デイサービスでかかる費用には、介護保険が適応外となる費用もあります。具体的には「食費」のほか、「その他実費」として日用品などの雑費やレクリエーションの材料費などが当てはまり、これらは全額自己負担となります。
食費
デイサービスで提供される食事やおやつは介護保険の適用外です。
全額自己負担となり、金額は施設がそれぞれに設定します。昼食とおやつで1回につき600~1,000円程度が目安です。
なお、食事やおやつがない時間帯にデイサービスを利用するのであれば、食費はかかりません。
その他実費
歯ブラシ、シャンプーなどの日用品代やおむつ代は介護保険の適用外となるため全額自己負担です。自宅から持参したものを使用するのであれば費用はかかりません。
その他、レクリエーションでかかる工作や手芸などの材料費も介護保険の適用外です。
介護保険サービスの自己負担額を軽減できる制度があるっポ。
介護保険サービスの費用は、一定の要件を満たせば下記の軽減制度を利用できます。
・高額介護サービス費
・社会福祉法人等による低所得者に対する利用者負担軽減制度
デイサービスで使える軽減制度は、1か月あたりの自己負担額が高額になりすぎた方や、所得の低い方が対象です。
高額介護サービス費
高額介護サービス費は、介護保険サービスの自己負担額が高額になりすぎたときに利用できる制度です。
1か月に支払った自己負担の合計が負担限度額を超えると、超過分の払い戻しを受け取れます。
デイサービスをはじめ、訪問介護やデイケア、ショートステイなどの介護保険サービスが対象になります。
負担の上限額は下記の通りです。
高額介護サービス費の負担限度額
区分 |
負担上限額(月額) |
課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 |
140,100円(世帯) |
課税所得が380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1,160万円)未満 |
93,000円(世帯) |
市町村民税課税~課税所得が380万円(年収約770万円)未満 |
44,400円(世帯) |
世帯全員が市町村民税非課税 |
24,600円(世帯) |
世帯全員が市町村民税非課税で、前年の公的年金等の収入とそのほかの合計所得の合計が80万円以下の方等 |
24,600円(世帯)
15,000円(個人) |
生活保護を受給している方等 |
15,000円(世帯) |
出典:厚生労働省資料
社会福祉法人等による低所得者に対する利用者負担軽減制度
低所得で生計が困難な方に対して負担額を軽減する制度です。
所得が少ない方でも安心して介護保険サービスを利用できるようにすることが目的で、申出をしている社会福祉法人のみに適応されます。
軽減割合は原則として自己負担額の4分の1で、対象になる費用は介護サービス費の自己負担額、食費、居住費(滞在費、宿泊費)です。
軽減の対象となるのは、次の要件をすべて満たした市町村民税非課税世帯の方のうち市町村が認めた方、または生活保護受給者です。
- 年間収入が単身世帯で150万円以下(世帯員が1名増えるごとに50万円を加算した金額以下であること)
- 預貯金等が単身世帯で350万円以下(世帯員が1名増えるごとに100万円を加算した金額以下であること)
- 日常生活に使用する資産以外に活用可能な資産がない
- 介護保険料の滞納がない
- 負担能力のある親族等に扶養されていない
この軽減制度を利用するには、お住いの市町村への申請が必要です。
必要書類を提出し、審査が通れば「社会福祉法人等利用者負担軽減確認証」が発行されます。この確認証を事業者に提示することで軽減の対象となります。
デイサービスの利用を希望しているなら、以下の流れで進めてね。
デイサービスは誰でもすぐに利用を開始できるわけではありません。まずは介護保険サービスを利用するための手続きが必要です。
デイサービスを利用するまでの流れは下記です。
1.要介護認定を受ける
2.ケアマネジャーに相談する
3.ケアプランを作成する
4.施設を見学する
5.申し込みをする
6.契約を結ぶ
デイサービスを利用するには、まずは要介護認定を受ける必要があります。要介護認定は、その人がどの程度介護を必要とするかを判定するもので、判定結果は要支援1・2、要介護1~5、または自立です。
デイサービスを利用できるのは原則65歳以上で要介護1~5の方です。要支援1・2の方は利用できません。
要介護認定の判定が出たら担当してもらうケアマネジャーを探し、「週何回通いたいか」「どんなふうに過ごしたいか」などを相談してケアプランを作成してもらいます。
見学などをして行きたいデイサービスが決まったら、申し込みや面接、契約をして、サービスの利用開始となります。
デイサービスの費用に関する疑問には、どんなものがあるのかな…。
ここではデイサービスの費用に関するよくある質問に回答します。
デイサービス費用の支払い方法は?
口座振替や振り込み、現金払いなど、施設によって異なります。クレジットカード払いに対応するデイサービスはほぼありません。
支払方法については事前に確認しておくとともに、「口座振替ができない」など事情があるときは施設に相談してみましょう。
デイサービス費用の自己負担割合は?
介護保険サービスは基本的には1割負担で利用できます。
ただし、現役並みに所得がある方は、所得に応じて2割もしくは3割負担になります。
65歳以上の介護保険サービス費の負担割合は下記の通りです。
所得 |
年金収入やその他所得の合計金額 |
自己負担割合 |
220万円以上 |
単身:340万円以上
2人以上世帯:463万円以上 |
3割 |
単身:280万円以上340万円未満
2人以上世帯:346万円以上463万円未満 |
2割 |
単身:280万円未満
2人以上世帯:346万円未満 |
1割 |
160万円~220万円未満 |
単身:280万円以上
2人以上世帯:346万円以上 |
2割 |
単身:280万円未満
2人以上世帯:346万円未満 |
1割 |
160万円未満 |
1割 |
要介護認定を受けると、要介護度が記載された通知書や介護保険被保険者証が郵送で届きます。自己負担の割合は、一緒に届く「介護保険負担割合証」で確認が可能です。
負担割合は毎年見直しが行われ、6~7月頃に新しい介護保険負担割合証が交付されます。
デイサービスの費用は、要介護度や利用時間、施設の規模などによって異なります。施設で提供されるサービスには介護保険が適用されますが、食費やおむつ代などの一部費用は全額自費です。
また、所得に応じて自己負担額は異なります。基本的には1割負担ですが、2割もしくは3割負担となる方もいます。
デイサービスを含む介護保険サービス費の負担が大きい場合は、要件を満たせば軽減制度の利用も可能です。
介護保険サービスの負担が大きくなりすぎないよう、ケアマネジャーとしっかりと相談した上でケアプランを作ってもらうことも大事でしょう。
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May 24, 2024 at 03:08PM
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