Tuesday, May 3, 2022

知床事故、航行中に社長が事務所不在 規程違反認める(写真=共同) - 日本経済新聞

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「知床遊覧船」の関係先を調べる海上保安庁の職員ら(3日、北海道斜里町)=共同

北海道・知床沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没した事故で、運航会社「知床遊覧船」(斜里町)の桂田精一社長(58)が事故当日、安全管理規程に違反して事務所から離れ、航行中の豊田徳幸船長(54)との連絡や記録をしていなかったことが3日までに、乗客の家族に配った文書で分かった。

桂田社長は「運航基準通りに行っていれば、早期に帰港決定するなど事故を回避できた可能性はあった」と謝罪している。

第1管区海上保安本部は2日に続き、3日も知床遊覧船の関係先を業務上過失致死容疑で家宅捜索。海保職員は同社が所有するもう1隻の観光船「KAZU Ⅲ(カズスリー)」を調べ、船の写真を撮るなどした後、段ボール2箱を車に積み込み、立ち去った。

桂田社長が乗客の家族に配った文書=共同

同社の規程では、桂田社長が運航管理者に登録されていた。運航管理者は航行中に事務所にいるのが原則だが、当日は病院に行くため離れていた。事務所には運航管理補助者に登録している社員はおらず、ほかの社員に船長と連絡を取る指示もしていなかった。

同社の運航基準では船長は航行中、13カ所の地点で、事務所にいる運航管理者に対し、地点名や通過時刻、天候や波浪の状況などを連絡しなければならず、毎回記録することになっている。桂田社長は「社員に任せている部分が多く、運航管理者としての自覚が足りなかった」とわびた。

桂田社長はこれまでの記者会見や家族への説明会で、自身が、輸送の安全を確保するための管理業務を統括する「安全統括管理者」や運航管理者であることを明らかにした。その上で、海が荒れれば船長の判断で引き返すとの条件付きで出航することを「私が決めた」と話した。

文書でも、北海道運輸局への届け出内容を確認した結果として、桂田社長が同社の運航管理者だったとしている。〔共同〕

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