Friday, July 29, 2022

アパレル・ファッション業界の年間平均賞与はいくら？｜ - @DIME

ワクチン接種が進み新型コロナによる混乱が落ち着きはじめた2021年。外出制限などで実店舗を中心に影響を受けていたアパレル業界ではどのような変化があったのだろうか。

そんな中、「クリーデンス」がアパレル・ファッション業界の「平均年間賞与額」の2021年版を公表したので、その概要をお伝えしていこう。

年代別の平均年間賞与額は60.5万円で昨年比−0.2万円と横ばい

2021年1月～12月までに「クリーデンス」に登録した人の平均年間賞与額は、60.5万円だった。2020年は60.7万円だったことからほぼ横ばいで推移していると言える。また、年代別でみると、若手層とベテラン層の平均年間賞与額が増加していた。

2021年は、新型コロナによる混乱が落ち着きはじめ、企業が採用を徐々に再開させた年であった。一方、未経験や経験の浅い層の採用は未だ控える企業が多く、若手層でも、マネジメントやECサイト、SNSの運用といった経験やスキルを持つ人材が企業から求められた。

そのため、若手層のなかでも比較的年収が高い、マネジメントやデジタルスキルを持つ登録者が増加したことが、20代の平均年間賞与額を引き上げる要因になったと考えられる。

50代以上の平均年間賞与額が上がった背景には、「MD・バイヤー」「営業・店舗開発」で経験・知識そして人脈が豊富なベテラン人材を求める企業が増加したことが挙げられる。

「MD（マーチャンダイザー）」は、商品開発や販売計画を練る役職で、EC化率の向上や長らく続いたまん延防止等重点措置など、状況の変化が激しくなっている昨今、柔軟に対応し適切な販売計画を練る人材の必要性が高まっているようだ。

職種別では、9職種中5職種の平均年間賞与額が増加した。これらの職種が増加した背景には、企業の経営戦略において重要な役割を担っていること、業績を立て直す重要なポジションであるため評価が賞与額に反映されやすかったことが挙げられる。

中でも「マーケティング」は、前年比で約10万円増加していた。この背景には、EC事業の拡大に注力する企業が増加したこと挙げられる。

2020年はEC基盤を整えるため、「WEB・EC」に関わる人材の採用を活発化させたのに対し、2021年は、EC基盤を拡大・成長させるため、マーケティング人材の採用を強化する動きが見られた。

特に、購買行動などのデータを活用・分析し戦略を立てるデジタルマーケティングや、SNSなどのコンテンツを活用したデジタルコミュニケーション、さらに、顧客体験の向上・売り上げの拡大を目的に、オンラインとオフラインをつなぐOMO戦略の立案といった専門性が高いポジションでのニーズが高まっている。

しかし、こうした経験やノウハウを持つ人材は希少であるため、給与水準を上げ採用を行う企業が増加。結果として、平均年間賞与額を引き上げたようだ。

2022年は、今まで着手してこなかった「MD」や「生産管理」といったものづくりに関わる分野のデジタル化、基幹システムの拡充などが進むことが予想される。ECでの購買が当たり前となった今、OMO推進により注力する企業も増加するだろう。

そのため、引き続き「デジタル」「マーケティング」に関わるポジションでは、業界内外問わず専門性の高い人材を求める動きが見られそうだ。

「販売・店舗系」では、店舗の売上げが回復傾向にある中で、マネジメントや高い接客スキルを持つ人材を中心に、採用ニーズがさらに高まることが予想される。

こうした高スキルを持つ人材を獲得するためには、求めるスキルや市場に即した就業条件に見直すことが非常に重要になるため、引き続き給与水準や人事制度を見直す企業が増え、2022年の平均年間賞与額は増加すると推測される。

調査概要
2021年1月～12月の間に、「クリーデンス」に登録したビジネスパーソンのデータをもとに算出