名古屋城復元をめぐる市民討論会であった差別発言問題で、主催した名古屋市は6月14日、市議会で差別発言を制止できなかった運営の不手際を認め、謝罪した。市議会からも批判を浴び、市は討論会の発言内容や市の対応を検証してきた。
復元天守のバリアフリー化をテーマにした3日の討論会で、車いすの男性が、天守最上階までのエレベーター(EV)設置を訴えた。市は「史実に忠実な復元」をめざしている。
これに対し、EV反対の男性2人が身体障害を侮辱する差別表現を使ったり、「我慢せい」「ずうずうしい」「平等とわがままを一緒にするな」などと批判したりする場面があった。討論会には、河村たかし市長や市職員が参加していた。
身体障害を侮辱する差別表現以外のこれらの発言についても、14日の市議会総務環境委員会では、人権施策を担当するスポーツ市民局長らが差別禁止を定める障害者基本法に反しているとし、「全体として人権的配慮に欠け、差別的な発言だった」と説明した。
会場で河村市長らが差別発言の制止や注意をしなかったことも議員に謝罪した。愛知県の「人権尊重の社会づくり条例」の趣旨に反していると説明し、「明らかに不適切だった」と見解を述べた。その上で、差別発言を制止できなかった原因を検証し、職員への研修を含む再発防止策をまとめる方針を示した。
討論会で差別発言を受けた車いすの男性は朝日新聞の取材に「発言を止めなかった市長や市職員も含め、会場の全員から障害者である自分を拒否されていると感じ、絶望的な気持ちになった」と振り返った。市が再発防止策の検討を進めることについては、それとは別に第三者委員会など外部の検証の必要性を指摘し、「しっかり原因究明してほしい」と話した。(寺沢知海、小林圭、三宅梨紗子)
エレベーター設置をめぐる経緯
名古屋城の天守は徳川家康の命で1612年に建てられた。1930年には城郭として国宝第1号に指定されたが、太平洋戦争末期の空襲で焼失した。名古屋城跡は現在、国特別史跡となっている。
天守は戦後にコンクリート製…
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