コロナ禍で我慢を強いられている国民が、政治家の行動にどれだけ厳しい目を向けているか分からなかったのか。
公明党の遠山清彦衆院議員が、辞職願を提出し許可された。
緊急事態宣言下の先月22日、深夜まで東京・銀座のクラブに滞在していた、と週刊誌に報じられた。自身の資金管理団体がキャバクラなどに「飲食代」として計11万円を支出していたことも判明した。これらの責任を取る。
遠山氏は「私の不適切な行動と、資金管理団体の不祥事で政治への信頼を深く傷つけてしまった」と謝罪した。その通りであり、議員辞職は当然だ。
党の幹事長代理だった遠山氏は当初、役職を辞任したものの議員辞職については否定していた。党も厳重注意にとどめていた。事態を軽く見ていたのではないか。
緊急事態宣言の発令で不要不急の外出や会食の自粛が呼び掛けられ、多くの国民が感染拡大を防ぐために協力している。そのさなかに与党の要職を務める国会議員が深夜までクラブを訪ねる、とは国民感情を逆なでする行為だ。
しかも政府、与党は私権制限を強化する新型コロナウイルス特別措置法と感染症法の改正案の成立を急いでいるところで、あまりに緊張感に欠けている。批判の高まりに追い込まれた格好だ。
比例九州ブロック選出の遠山氏は昨年まで党の沖縄方面本部長を務めていた。今回の不祥事は、信頼を寄せる県内の支持者をも裏切るものである。
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遠山氏と同様に、深夜に銀座のクラブを訪ねていた自民党の松本純元国家公安委員長は、離党勧告処分となった。党の国対委員長代理を辞任して批判をかわそうとしたが抑えられなかった。
自民党の大塚高司衆院議院運営委員会理事と田野瀬太道文部科学副大臣も同じ処分となった。松本氏が銀座のクラブを訪れた際に両氏が同行していたという。
松本氏はこれまで「1人で行った」と説明していた。うそをついて事実を隠(いん)蔽(ぺい)しようとしていたのだ。「前途ある2人。後輩をかばった」との釈明が通用するはずがない。
理解できないのは党執行部の対応だ。松本氏が当初、役職の辞任を申し出た際、二階俊博幹事長は「やめる必要はない」と一時慰留したという。3氏を離党勧告処分としたのは、世論の反発を受けて慌てて取り繕った感が否めない。
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菅義偉首相は田野瀬氏から報告を受け「あるまじき行為だ」として更迭した。だが、自身にも副大臣への任命責任があるのは明らかだ。
公明党の山口那津男代表は「信頼回復のため党一丸となって取り組む」と記者団に語った。
では自民党はどうするのか。
菅首相は代表質問で「政治とカネ」の問題を問われた際に「政治家は責任を自覚し、常に襟を正すべきだ」と述べた。政治不信が高まる今、どのように正すのか道筋を示すことが求められている。
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