Saturday, July 10, 2021

土石流はいきなり迫ってきた 退避した消防隊員「全滅するかと」 - 毎日新聞 - 毎日新聞

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土石流からギリギリで退避したときの様子を話す熱海市消防署の杉野巧・当直司令(右)と上田洋・警防主幹=静岡県熱海市役所で2021年7月10日午後3時11分、梁川淑広撮影 拡大
土石流からギリギリで退避したときの様子を話す熱海市消防署の杉野巧・当直司令(右)と上田洋・警防主幹=静岡県熱海市役所で2021年7月10日午後3時11分、梁川淑広撮影

 建物をのみ込みながらすさまじい勢いで押し寄せる土石流。間近で駆け出してギリギリで退避した2人の消防隊員――静岡県熱海市伊豆山(いずさん)で3日に発生した土石流で何度も閲覧されているツイッターに投稿された動画に映る2人の消防隊員が10日、当時の状況や心境を語った。

 2人は熱海市消防本部消防署の杉野巧・当直司令(48)と上田洋・警防主幹(41)。動画で、ビルから飛び出して土石流が達する寸前に走って離れたのが杉野司令、バックして退避する消防車の横を水に追われて走るのが上田主幹だ。

 2人によると、3日午前10時28分ごろ、伊豆山の山の手の住民から「向かいの家が地滑りで跡形もなく流された。土砂で埋まっている」と119番通報があった。消防車(ポンプ車)1台、救助工作車1台、救急車2台の計4台で13人が現場に向かったが、市道伊豆山神社線が流れてきた土砂に埋まっていて進めなくなった。

ツイッターの動画を再生するパソコンの画面で土石流から退避する自分たちを指し示す熱海市消防署の上田洋・警防主幹(左)と杉野巧・当直司令=静岡県熱海市役所で2021年7月10日午後3時15分、梁川淑広撮影 拡大
ツイッターの動画を再生するパソコンの画面で土石流から退避する自分たちを指し示す熱海市消防署の上田洋・警防主幹(左)と杉野巧・当直司令=静岡県熱海市役所で2021年7月10日午後3時15分、梁川淑広撮影

 どうやって現場まで上っていくか。隊員間で数分、話しているうちに路上の土砂がゆっくりと動き始めた。すぐに車両も退避を開始。見渡す限りの人々に避難を呼びかけた。杉野司令が酒店のビルの退避を確認したところで「ゴーッ」という大きな音が響き、市道の山側にあった建物群を「ドカーン」と土石流が破壊した。

 杉野司令は「私の目線からは迫る土砂のゆっくりとした動きしか分からなかった。いきなり『ドカーン』と来たのでギリギリまで反応できなかった。必死で急いで退避したが、その後に何波も押し寄せるものを実際に見て後から怖さを感じた」と吐露する。

 上田主幹は、杉野司令がビルに入るのを見て、大声で「直ちに退避して」と叫んだ。山側を見るとすごい速度で土石流が流れてくるのが見えたので、杉野司令の退避を確認し、自分の身の危険も感じたので直ちに退避したという。

 上田主幹は「とにかく恐ろしかったのは土石流の速度が速かったこと。目撃した数秒後に道路まで流れてきた。土砂はたまたま谷沿いを流れていったけれど、自分たちがいる道路側だったら、隊が全滅してもおかしくない状況だった」と振り返った。3日夜、捜索から消防署に戻って映像を初めて見て、「当時は無我夢中で体が動いたが、いかに恐ろしい現場にいたのか……」と再認識したと明かした。

 2人とも家族から、「とにかく無事でよかった」と声をかけられたという。【梁川淑広】

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