東京五輪で日本選手の活躍が続く中、都内での新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。東京の新規感染者は31日、4058人で最多を更新。都は感染者の半数を占める20代や30代、重症者が多い50代を中心に外出自粛などの呼び掛けを強める。しかし、週末夜の新橋ではサラリーマンらが五輪中継を見ながらグラスにビールを注ぎ、休日の原宿は大勢の若者たちでにぎわっていた。(米田怜央、山口登史)
◆都職員が呼び掛けも…
「外出を控えてください」。31日の昼下がり、ハンドボール会場の国立代々木競技場(渋谷区)に近く、五輪を祝う旗が通りを飾るJR原宿駅前で、拡声器で呼び掛ける都職員の声が響いた。
待ち合わせをしていた大学4年の女性(22)はそれを耳にし、少し申し訳なさそう。「でも、コロナが収束するのを待っていたら、何もできないまま学生生活が終わっちゃう」
◆宣言知らずに、岐阜から
若者向けの店が連なる竹下通りは人の波が途切れず、五輪関係者を示すADカードを首から下げた外国人の姿も。Tシャツショップの男性店長(31)は「人は緊急事態宣言前に比べて少し減ったくらい。感染者が増えても、もう劇的には変わらない気がする」。
岐阜県から観光で訪れた20代の男性会社員は宣言発令中と知らず、「時間がたち、コロナが怖いという気持ちは薄れてきている」と話した。
◆サラリーマンの街、新橋は
都内は酒類提供の自粛要請が続くが、JR新橋駅前(港区)では飲食店の明かりが夜遅くまでともり続ける。埼玉、千葉、神奈川3県にも緊急事態宣言発令が決まり、菅義偉首相が記者会見で国民に「慎重な行動」を呼び掛けていた30日午後7時すぎも、家路を急ぐ人がある一方、立ち飲みする人で混雑していた。
「緊急事態宣言に慣れちゃったんでしょ」。区から委託され駅前広場を掃除していた男性が愚痴をこぼす。拾い集めたカップ酒の瓶や空き缶は45リットルのゴミ袋の半分ほどに。その横で「シュポッ」と缶ビールを開ける音。「酒を飲む人は止められないよ」。男性はため息をついた。
◆「五輪中だから、飲んじゃえ」
午後8時ごろ、ガード下の居酒屋のテレビでは、サッカー女子代表の「なでしこジャパン」が準決勝進出を懸けた試合が流れていた。店内はほぼ満席で、50人近い客は肩を寄せ合うような状態。近くの通りでは、「五輪中だから飲んじゃえ」と気勢を上げながら店を探す若い4人組の男女もいた。
駅前の公園には、路上飲酒対策で警備員が立っていた。その目を逃れるかのように、路地裏で埼玉県志木市の会社員の男性(56)が1人、缶チューハイを傾けていた。手にしたスマホには女子サッカーの試合経過が映っていた。
「お母ちゃん(妻)がいるから家では飲みにくいんだよね」。帰宅前の一杯がささやかな楽しみだが、「なじみの店はどこも営業自粛。知らない店は若者が多いから、コロナが怖いよ」。
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