Monday, June 14, 2021

犬に必要なビタミン|多く含む食べ物を栄養管理士が解説 | ペトコト - ペトこと

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ビタミンは犬にとっても欠かせない栄養ですが、不足だけでなく人間用のサプリメントを与えてしまうなど過剰摂取にも注意が必要です。各ビタミンの主な働きや過不足で起こる症状や副作用、多く含まれる食べ物についてペット栄養管理士が解説します。

果物

ビタミンは必要不可欠なものを意味する「vital」と窒素を含む化合物の一種である「amine」という言葉の組み合わせから、「生命活動に必要不可欠な化学物質」という意味を持って命名されました。エネルギーを生み出し、骨や細胞を作り、視覚や神経伝達など動物の体が正常に働くために欠かせない存在です。

犬にとっても欠かせないものですが、食材だけで過不足なく摂取することは難しいため、すべての総合栄養食はAAFCO(米国飼料検査官協会)やFEDIAF(欧州ペットフード工業連合会)が定める栄養基準に沿って、サプリメントとしてビタミンが添加されています。PETOKOTO FOODSも同様です。

野菜

ビタミンは大きく脂溶性水溶性に分けられ、脂溶性ビタミンは4種(A、D、E、K)、水溶性ビタミンは9種(B1、B2、ナイアシン、パントテン酸、B6、ビオチン、葉酸、B12、C)あります。ビタミンではありませんが似た働きを持つ物質として、コリンもビタミンB群に含まれることがあります。

一般的に「脂溶性ビタミンは欠乏しにくく過剰になりやすい」「水溶性ビタミンは欠乏しやすく過剰になりにくい」特徴があります。糖尿病や腎疾患など多尿になりやすい病気では、水溶性ビタミンの欠乏に注意が必要です。

種類
別名
脂溶性ビタミン ビタミンA
ビタミンD
ビタミンE トコフェロール
ビタミンK
水溶性ビタミン ビタミンB1 チアミン
ビタミンB2 リボフラビン
ビタミンB3 ナイアシン
ビタミンB5 パントテン酸
ビタミンB6
ビタミンB7 ビオチン
ビタミンB9 葉酸
ビタミンB12 コバラミン
ビタミンC

ちなみにビタミンB4やB8、B10などは後の研究でビタミンの定義から外れることがわかったため、現在は欠番になっています。
肉と野菜

脂溶性と水溶性を合わせて13個のビタミンにはそれぞれどのような働きがあるのでしょうか。犬の必要量とともに一覧で紹介します。なお、ビタミンB3、B5、B7、B9は一般的な別名を使用します。

種類
主な働き
必要量(乾物1kgあたり)
ビタミンA 心臓や肺、腎臓、皮膚の正常な形成や維持に関わり、視覚機能や免疫機能をサポート 5000-250000IU
ビタミンD カルシウムとリンの吸収を促進。骨と歯をつくる 500-3000IU
ビタミンE 抗酸化作用、紫外線障害からの保護、細胞の老化予防 50IU以上
ビタミンK 血液凝固、骨と歯の形成、糖尿病や認知症の予防
ビタミンB1(チアミン) 糖質からエネルギーを作り出す際の補酵素。神経の機能維持 2.25mg以上
ビタミンB2(リボフラビン) 脂質の代謝。過酸化脂質の分解。皮膚、爪、被毛の健康な発育 5.2mg以上
ナイアシン 皮膚を健康に保つ。糖質、脂質タンパク質の代謝 13.6mg以上
パントテン酸 糖質、脂質タンパク質の代謝。傷の治りを早くする 12mg以上
ビタミンB6 タンパク質の代謝、神経の機能維持、トリプトファンからのナイアシン合成 1.5mg以上
ビオチン 疲労回復、糖尿病・肥満の予防、皮膚を健康に保つ
葉酸 タンパク質をつくるのをサポート。正常な赤血球の生成 0.216mg以上
ビタミンB12 造血作用。神経の健康維持 0.028mg以上
ビタミンC 抗酸化作用、エネルギー生成、鉄の吸収促進

※必要量はAAFCO栄養素基準(2016年版)より


ビタミンA

犬はβカロテン(プロビタミンA)をビタミンAに変換できます(猫はできません)。ビタミンAは正常な免疫機能に不可欠で、不足すると感染症にかかりやすくなると言われています。

ビタミンD

ビタミンDは腸内でのカルシウム吸収を促進します。人は日光浴でビタミンDを合成することができますが、犬の体にはその仕組みがないため食事から摂取する必要があります。

ビタミンE

ビタミンEは抗酸化作用が特徴で、タバコの煙や大気汚染、紫外線によるダメージを抑制します。ドライフードでは油脂の酸化防止を目的として含まれます。科学的に証明されていませんが、がんや白内障の予防効果が期待されています。

ビタミンB1(チアミン)

ビタミンB1は熱や酸化で分解され、特にドライフードでは食材から摂取することができないため添加が必須です。カツオやイカなどの生魚やアサリなどの貝類にはチアミン分解酵素「チアミナーゼ」が含まれ、継続して摂取すると欠乏症になります。チアミナーゼは加熱調理により不活化します。

ナイアシン

犬はトリプトファンからナイアシンを合成することができます。

ビタミンC

ビタミンCは抗酸化作用があり、免疫力の向上も期待できます。植物に含まれる鉄分の吸収を高める効果もあります。犬はビタミンCを体内で合成できますが、肝臓の合成能力が低下している場合は欠乏に注意が必要です。

人の場合、タバコの煙が体内のビタミンC濃度を減少させることがわかっています。研究段階ですが、高濃度ビタミンCの点滴投与は副作用の少ないがん治療として期待されています。


野菜と果物

AAFCOは各ビタミンの犬が摂るべき最小値と最大値を設定していますが、リスクが低く設定されていないものもあります。特にビタミンB群、ビタミンCは水溶性で過剰分が尿から排出されるため、最大値は設定されていません。

ただし、サプリメントによる過剰摂取には注意が必要です。特に人間用のビタミン剤を与えてしまうと、犬とっては過剰摂取になる場合があります。

種類
不足で起こる症状
過剰摂取で起こる症状
ビタミンA 骨や歯の発育不全、免疫力低下、視覚障害(夜盲症、眼球乾燥症)、被毛の貧弱化 まれに食欲不振、骨折、内出血
ビタミンD 骨粗鬆症 高カルシウム血症、腎障害、腎結石
ビタミンE 皮膚疾患、免疫力低下 特になし
ビタミンK 出血 貧血
ビタミンB1(チアミン) 脚気、疲労、食欲不振、運動失調、麻痺、心臓病 血圧低下、不整脈
ビタミンB2(リボフラビン) 運動失調、皮膚疾患、結膜炎 特になし
ナイアシン 疲労、食欲不振、下痢、舌の壊死 血便、痙攣
パントテン酸 脂肪肝、成長不良、昏睡 特になし
ビタミンB6 食欲不振、体重減少、痙攣、シュウ酸カルシウム尿結石 食欲不振、運動失調
ビオチン 食欲不振、皮膚炎、脱毛、出血性下痢 特になし
葉酸 食欲不振、体重減少、貧血 特になし
ビタミンB12 貧血
ビタミンC 筋萎縮 特になし

ビタミンD

過剰摂取では4000IU/kgのビタミンDを含むフードを与えられたグレートデーンの子犬でカルシウム吸収率の低下と骨形成異常が見られたことから、最大値が2007年の5000IUから3000IUに下げられました。腎結石のリスクを高める可能性も報告されています。

ビタミンE

2007年まで1000IU/kgの最大値が設定されていましたが、過剰摂取による中毒報告がないことから削除されました。ただし、過剰摂取によりビタミンA、D、Kの吸収率が下がる場合があります。

ビオチン

犬は腸内細菌によって体内でビオチンを合成することができます。そのため抗生物質などを長期服用すると腸内細菌が減って欠乏しやすくなり、食事から摂取する量を増やさなければいけません。

また、卵白に含まれるタンパク質「アビジン」はビオチンの吸収を阻害します。アビジンは加熱調理で不活化します。

ビタミンK

犬は腸内細菌によって体内でビタミンKを合成することができます。ビオチンと同様、抗生物質などを長期服用する場合は欠乏に注意が必要です。

ビタミンA

ビタミンAは豚や鶏のレバー、うなぎやマグロ、鶏卵に多く含まれます。βカロチンを多く含む食材はニンジンやほうれん草、大葉、パセリ、カボチャ、春菊、三つ葉などに多く含まれます。

ビタミンD

ビタミンDを含む食品はあまり多くありません。サケやアジ、うなぎ、サンマなど脂肪の多い魚、舞茸やエリンギなどのきのこに多く含まれます。

ビタミンE

ビタミンEはアーモンドや鮎、きな粉やオリーブオイル、カボチャ、モロヘイヤなどに多く含まれます。

ビタミンK

ビタミンKは納豆やパセリ、大葉、モロヘイヤ、ひじき、ほうれん草などに多く含まれます。

ビタミンB1(チアミン)

ビタミンB1は豚肉やゴマ、舞茸、うなぎ、そば、大豆などに多く含まれます。

ビタミンB2(リボフラビン)

ビタミンB2は豚や牛のレバー、アーモンド、納豆、うなぎ、モロヘイヤなどに多く含まれます。

ナイアシン

ナイアシンはカツオやマグロ、サバ、アジなどの魚や鶏肉、豚肉などに多く含まれます。

パントテン酸

パントテン酸は豚や牛のレバー、鶏卵、納豆、鶏肉、モロヘイヤなどに多く含まれます。

ビタミンB6

ビタミンB6はマグロやカツオ、そば、豚肉、ブロッコリー、鶏肉などに多く含まれます。

ビオチン

ビオチンは豚や牛のレバー、鶏卵やアーモンド、そばや大豆などに多く含まれます。

葉酸

葉酸は海苔や、鶏や牛のレバー、大豆やブロッコリー、枝豆などに多く含まれます。

ビタミンB12

ビタミンB12は海苔やしじみ、牛や鶏のレバー、サバやサンマに多く含まれます。

ビタミンC

ビタミンCはピーマンやブロッコリー、キウイや柿、イチゴ、ほうれん草に多く含まれます。
PETOKOTO FOODS

ビタミンは過不足のないように摂取する

脂溶性は過剰に、水溶性は不足に注意

総合栄養食ならバランス良く摂れる

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June 14, 2021 at 05:06PM
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