政府は23日、新型コロナウイルスの感染が拡大している東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令を決定する。酒類を提供する飲食店には休業を要請するほか、スポーツなどの大型イベントについても原則、無観客で開催するよう協力を求める。大型商業施設は一部を除いて休業を要請する方針だ。
宣言の発令は、昨年4月と今年1月に続いて3回目となる。発令期間は4月25日から5月11日までとする方向だ。大型連休中の人出を大きく減らす狙いがある。政府は23日に専門家でつくる基本的対処方針分科会を開き、政府対策本部で発令を決定する。
菅首相は22日夜、首相官邸で田村厚生労働相ら関係閣僚と協議後、記者団に「ゴールデンウィークを中心に集中的に対策を講じ、感染拡大をなんとしても抑え込んでいきたい」と強調した。
飲食店対策では、酒類やカラオケ設備を提供する飲食店に対し、休業を要請する。これらの店で、酒類とカラオケ設備の提供を取りやめた場合でも、午後8時までの時短営業を求める方向だ。西村経済再生相は22日夜の記者会見で「時短要請だけでは(感染拡大を)抑えきれないようになっている」と述べた。
床面積が1000平方メートルを超える大型商業施設についても、生活必需品の売り場などを除いて休業を要請する方向で調整している。百貨店やショッピングセンターなどを想定しており、政府と4都府県が協議している。休業要請に応じた場合には協力金を出す考えだ。
スポーツなどの大規模イベントについては、社会生活の維持に不可欠なものを除き、原則、無観客で実施するよう要請する。都道府県をまたぐ不要不急の移動の自粛や、テレワークの強化なども対策に盛り込む方向だ。鉄道やバスなどの公共交通機関に対しては、週末や休日の減便などを要請する案も出ている。
一方、政府は23日、宣言発令の決定に合わせ、宣言に準じた対策が可能となる「まん延防止等重点措置」の適用地域に愛媛県を追加する予定だ。
3回目となる緊急事態宣言の発令を巡る政府の対応は迷走している。
感染拡大に歯止めがかからない大阪府などの要請を受けたとはいえ、政府内で熟慮した形跡は乏しく、強い私権制限を含む対策は拙速さが否めない。
大型商業施設への休業要請や、大規模イベントの無観客開催要請などが唐突に浮上し、関係業界には困惑が広がっている。
前回(1月)の宣言発令では、政府は経済活動に配慮し、飲食店の時短営業要請など限定的な対策にとどめた。今回、政府が方針転換するのは、全国に広がる変異ウイルスへの警戒感があるのだろう。「人流の抑制」という目標を掲げ、経済活動を抑える方向にカジを切った。
だが、各業界ともコロナ禍の経験を積み重ね、厳しい経営環境の中、感染対策を徹底してきた。十分な周知期間と補償を設けずに実施に踏み切れば、混乱は必至だ。厳しい制限措置をとろうとするのであれば、具体的な根拠と展望を示すべきだ。(政治部次長 杉田義文)
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