Thursday, August 5, 2021

火災保険の相場はいくら? 戸建て、マンション、賃貸の差をシミュレーション - 今見直したい「火災保険」(1) - マイナビニュース

賃貸でも持ち家でも、ほとんどの人が「火災保険」に加入しているでしょう。火災保険は、火災はもちろんのこと、様々な自然災害や盗難などによる損害を補償してくれる保険です。安心な生活に欠かせない大切な保険ですが、では、火災保険の相場はどのくらいなのでしょうか。火災保険の保険料の決まり方や、戸建てとマンション、賃貸それぞれの保険料のシミュレーション結果をご紹介します。

■火災保険はどんな保険?

<火災保険とは>

火災保険とは、住まいが火災などの被害に遭った時の損害を補償してくれる保険です。火災保険では、戸建てやマンションなどの「建物」のほか、建物の中にある家財(家具、衣服など日常生活に用いる動産)も補償してくれます。これら建物や家財など、補償の対象になるものを、火災保険では「保険の対象」と呼びます。

火災保険は、「保険の対象」ごとに加入する仕組みとなっています。建物だけに保険をかけた場合、たとえば、火災で家が燃えてしまっても、補償が受けられるのは建物のみとなります。家財の損害もカバーするためには、家財も保険の対象とし、火災保険に加入しなければならないのです。

<火災保険で補償される損害>

多くの火災保険では、火災のみならず、「落雷」や「破裂・爆発」による損害も補償されます。また、保険の種類によっては、以下のような損害も補償されることがあります。

・台風で瓦が飛んでしまった(風災)
・雹(ひょう)災や豪雪による雪災
・排水管が詰まり床が水浸しになった(水濡れ)
・洪水が起き床上浸水した(水災)
・物体の飛来や落下
・車が家に衝突した
・騒擾(集団による騒ぎ)に伴う破壊行為
・空き巣に入られ盗難に遭った(家財の補償を付けた場合)

「火災保険」というと、「火災による損害を補償してくれるもの」というイメージが強いですが、実際には、様々な自然災害や、その他の事故による損害を幅広くカバーしてくれる保険なのです。

■火災保険の保険料の決まり方

万が一の事故に備え、必ず加入しておきたい火災保険。しかし、その保険料は、住む家の構造や築年数、所在地などによって異なります。どのようにして保険料が決まるのか、確認してみましょう。

<建物の構造>

一般的に、たとえ専有面積や築年数が同じだとしても、マンションより戸建てのほうが、保険料が高くなる傾向にあります。これは、マンションはコンクリート造など耐火性に優れている物件が多く、火災によって損壊するリスクが少ないと考えられているためです。同じ理由で、鉄骨造の戸建てよりも木造の戸建てのほうが、保険料は高くなります。

<賃貸か持ち家か>

賃貸と持ち家では、賃貸よりも持ち家のほうが、保険料が高くなるのが一般的です。賃貸の場合、建物に火災保険をかけるのは大家さんだからです。賃借人(入居者)は、「建物の中にある家財のみ」に保険をかければいいため、持ち家よりも保険料が安く済みます。

<建物の築年数>

建物の築年数も保険料に影響します。新しい(築年数が浅い)建物ほど、一般的に、保険料は安くなります。ただし、賃貸の場合は、マンションも戸建ても築年数によって保険料が変わることはありません。先述のとおり、賃借人が保険をかけるのは、自身が所有する家財のみだからです。

<所在地>

建物の所在地によっても、保険料が変わることがあります。一般的には、洪水や土砂災害、津波など災害の多い地域ほど保険料が高く設定されています。国土交通省が公開している「ハザードマップ」では、それらの災害リスクを確認することができます。保険料にも影響しますし、住んでいる地域やこれから引っ越し、物件の購入を考えている地域の災害リスクを知っておくことはとても大切です。ぜひ一度、ハザードマップを見てみましょう。

<補償内容や特約>

そのほか、補償される損害の範囲を広くすると、保険料は高くなります。たとえば、火災や落雷などに絞ったシンプルな補償より、雹災や雪災などの様々な自然災害、盗難など幅広い損害を補償するほうが、保険料は上がります。

特約を付ける場合も、保険料が高くなります。たとえば、自宅の漏水により階下の部屋を水浸しにしてしまうと、損害賠償を請求されることがあります。このような事態に備え、「個人賠償責任保険」を特約として付帯するケースなどです。

■戸建てとマンション、賃貸の保険料の差は

火災保険の保険料は、こうした様々な条件に影響されるため、「一律の相場」が分かりにくいのが実情です。そこで、以下のような条件に設定した時、戸建てとマンション、賃貸の年間の保険料はどのくらいになるのか、シミュレーションしてみました。

<戸建て(持ち家)>

所在地:東京
建物構造:木造
築年数:新築
建物の保険金額:2,000万円
家財補償:500万円
保険期間:10年
保険料:2万8,972円(1年間あたり)

<マンション(分譲)>

所在地:東京
建物構造:コンクリート造
築年数:新築
建物の保険金額:2,000万円
家財補償:500万円
保険期間:10年
保険料:1万1,656円(1年間あたり)

<賃貸>

所在地:東京
建物構造:鉄筋コンクリート造
保険金額:100万円(家財のみ、単身用)
(借家人賠償責任2,000万円、借家修理費用300万円、個人賠償責任1億円等を含む)
保険期間:1年
保険料:4,000円

なお、戸建てとマンションで補償される内容は、「火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹災、雪災、水災、盗難、水濡れ、騒擾、物体の落下、飛来等、破損・汚損等」に設定しています。

戸建てとマンションの保険料を比較してみると、築年数や保険金額などの条件が同じでも、保険料に倍以上の差がありました。また、賃貸で、なおかつ単身で保険金額が低めである場合、保険料も非常に安く済んでいることが分かります。

ただし、繰り返しになりますが、火災保険の保険料は、様々な条件によって大きく異なります。それに、ほぼ同じ補償内容であっても、商品によって金額に開きが生じます。実際に火災保険の加入を検討する場合は、必ずご自身のケースでシミュレーションしてみましょう。

■ハザードマップにて災害リスクの確認を

近年では、洪水など自然災害による被害が目立ちます。自分の住んでいる地域やこれから住もうと思っている地域にはどのような災害リスクがあるのか、ハザードマップでよく確認して補償内容を検討しましょう。事故への備えは過不足なく行い、安心して暮らしていきたいですね。

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