柚月裕子による同名原作小説を映画化した『孤狼の血』(2018)。広島の架空都市・呉原市を舞台に、違法すれすれの捜査を繰り返す一匹狼の刑事・大上(役所広司)と新米刑事・日岡(松坂桃李)が、暴力団組織同士の抗争を利用して大物の逮捕を狙っていく。刑事もの×『仁義なき戦い』と言われ、大きな話題となった作品の続編『孤狼の血 LEVEL2』が8月20日より公開される。前作から3年後の日岡の姿を描いたオリジナルストーリーだ。メガホンを執った白石和彌監督に話を聞いた。(全2回の2回目/前編から続く)
コロナ禍で逆に結束力が生まれた
――オール広島ロケだったそうですが、コロナ禍にも関わらず広島側はウェルカム状態だったそうですね。
前作ではロケーションを探す時に「ヤクザ映画ですか、ちょっとやめてください」みたいな空気感があったんです。でも今回は皆さん、「前作観たよ。うち使ってよ」と言ってくださったし、街を歩いていても怖そうなお兄さんに、「監督だよね? 俺、紋々入ってるから、何かあったら使って!」と声を掛けられたりして、認知度が広がっていることを感じました。また呉を盛り上げてくださいという雰囲気ではありましたけど、もちろんスタッフ・キャスト全員PCR検査をして行きましたし、撮影が終わった夜に、飲食に出歩くのは禁止にしました。コロナ禍で衛生部という新しい部署を作るなど、もちろん大変なことがありましたが、プロデューサーが夕食のために、スタッフ・キャストだけが出入りできる臨時の店を作ってくれて、みんながそこで飲食していたので逆に結束力が生まれましたし、こういう撮影はむしろ二度と難しいかもと思うくらいの濃密な時間でしたね。
――クライマックスのカーアクションは迫力があり、日本映画でもここまでできるのかと思いました。
まだやり足りないくらいで、もうちょっとできたなと思っています(笑)。ストーリー上はわざわざカーチェイスしなくてもいいんですけど、前作よりエンタメ色を強くするためにも必要なシーンでした。ただ日本の映画業界は世界的に見ても予算が少なく、例えばこのカーチェイスで1億円かかると言ったら、「じゃあ5000万円でやってくれ」と言われてしまう。でも配信で独自の作品を作っている外資の会社なら「1億円もちろん出しますよ、どうせなら『ワイルド・スピード』シリーズに勝ちましょうよ」となる。
からの記事と詳細 ( 映画『孤狼の血 LEVEL2』の撮影現場はきわめてホワイト 白石和彌監督が取り入れた“リスペクト・トレーニング”って何? - 文春オンライン )
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